HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 31 Aug 2010 01:14:15 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:蝉(せみ)時雨がにぎやかな今月二十三日午後、東京の千鳥ケ淵…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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2010年8月31日

 蝉(せみ)時雨がにぎやかな今月二十三日午後、東京の千鳥ケ淵戦没者墓苑に、全国抑留者補償協議会などが主催した慰霊祭に出席する鳩山由紀夫前首相の姿があった▼祖父の一郎は戦後、旧ソ連に長期間抑留されていた日本人全員を帰還させる決意で病身をおしてモスクワに向かい、日ソ共同宣言に調印した。孫としての思いがあるのだろう。野党時代から鳩山さんは抑留問題に熱心だった▼一時間の式典中、静かに座っていた鳩山さんだが、異国の土になった抑留者たちに思いを寄せていただけではないはずだ。翌日から、政局をめぐって精力的に動き始めた▼きのうも菅直人首相、小沢一郎前幹事長と会談を重ねて、首相時代のように一挙手一投足にメディアの注目が集まった。わずか三カ月前、小沢氏を道連れに首相を辞め、政界からの引退を口にした人とは思えない▼祖父は戦前、内閣が軍縮条約にかかわることは天皇の統帥権干犯に当たると政府を攻撃した。結果的に軍に対する議会のコントロールを弱め、軍部の暴走を招いた。倒閣に明け暮れ大局観を見失ったと批判する声が根強い▼外遊先のモスクワで鳩山さんは「小沢氏に総理にまで導いていただいた。ご恩返しをすべきだ」と語った。この人の言葉の軽さにはもう慣れてしまったが、大局観を持たない人が政局の鍵を握っているのは、国民にとって不幸なことだ。

 

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