HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37594 Content-Type: text/html ETag: "100a04-1617-d1383d00" Expires: Sun, 29 Aug 2010 20:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 29 Aug 2010 20:21:38 GMT Connection: close レアアース 中国は安定供給に協力を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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レアアース 中国は安定供給に協力を(8月30日付・読売社説)

 ハイテク製品作りに不可欠な金属のレアアース(希土類)の確保に不安が生じている。最大の生産国の中国は、安定供給に努めるべきだ。

 日中両国の閣僚によるハイレベル経済対話が北京で開かれた。主要議題は、ハイブリッド車や省エネ家電の部品などに使用されるレアアースを、日本企業がどう確保するかだった。

 世界の年間生産量12万トンのうち、中国産が9割強を占める。日本は約3万トンに上る年間需要量の9割を中国からの輸入に頼る。

 ところが、中国は最近、今年のレアアースの全輸出許可枠を前年比4割減の約3万トンとする方針を決めた。レアアースを戦略物資ととらえて、輸出を抑制し、資源を囲い込む狙いがうかがえる。

 これで供給不安が高まり、価格は急上昇している。モーターの磁石に使われるネオジムなどは3割も値上がりしたという。

 自動車、電機業界などにとっては、供給不安と価格高騰のダブルパンチと言えよう。ハイテク製品の生産への影響も懸念される。

 日本政府が今回の経済対話で、中国政府に対し、輸出規制の改善を求めたのは当然である。

 だが、中国は資源保護などを理由に反論し、とくに進展はなかった。これで不利益を被るのは日本企業だけではない。

 日本は他の輸入国とも協力し、中国に輸出枠の確保を働きかけていかねばならない。中国は安定供給に応じる責任がある。

 一方、日本政府と産業界が、中国以外にレアアースの調達先を分散させることも課題といえる。

 レアアースは米国や豪州などにも存在する。他の産出国から調達できる権益の確保を急ぐべきだ。レアアースのリサイクルや備蓄にも取り組む必要がある。

 経済対話ではこのほか、日本が中国に対し、環境省エネ技術の支援を強化する点で合意した。

 温室効果ガスの大量排出国である中国は、技術支援を受けるだけでなく、排出量の削減で応分の責任を果たすことが肝要だ。

 日中間の経済対話は、両国が経済分野で戦略的な互恵関係を推進するため、2007年に始まり、今回が3回目だった。

 中国は今年4〜6月期に名目国内総生産(GDP)で日本を抜き、米国に次ぐ世界2位になったとみられる。世界の主要プレーヤーとしての役割も大きくなった。

 世界経済の先行きはまだ不透明だ。日中両国がさらに協調し、牽引(けんいん)することが期待されよう。

2010年8月30日01時26分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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