HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37371 Content-Type: text/html ETag: "10459d-15d4-9c4fb640" Expires: Sat, 28 Aug 2010 20:21:32 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 28 Aug 2010 20:21:32 GMT Connection: close 原子力政策大綱 規制と推進の分離を論じよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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原子力政策大綱 規制と推進の分離を論じよ(8月29日付・読売社説)

 日本の原子力政策を方向付けてきた内閣府の原子力委員会が、原子力の利用と研究開発の方針をまとめた「原子力政策大綱」の改定へ向け、検討を始めた。

 今後、論点整理に入るが、最重要課題として安全規制体制の改革に取り組むことを求めたい。

 現在、原発などの安全規制は経済産業省にある原子力安全・保安院が主に担当している。ただ、同省には、原発を推進する資源エネルギー庁があり、「推進」と「規制」が同居している状態だ。

 トップにいる経産大臣は同じなので、例えば原発でトラブルが起きた時に、大臣が立地自治体を訪れても、住民は、アクセルを踏みに来たのか、ブレーキをかけに来たのか、と戸惑うことになる。

 新潟、福島両県など、原発を抱える自治体が強く改革を求めてきたのも当然だろう。

 国際的にも、日本が加盟する原子力安全条約などは規制の「独立性」を重視している。世界標準からも特殊と言わざるを得ない。

 このため民主党は、野党時代から、保安院の分離を主張し、政策集でも、「独立性の高い原子力安全規制委員会を創設する」という明確な方針を掲げている。

 鳩山前首相も、国会答弁で繰り返し、積極的に改革に乗り出す意向を表明した。これを受け今月から、経産省の政務三役が検討を始めることになっている。

 本格的な改革となれば、関連する組織や法制度の、大胆で大幅な見直しが必要になるだろう。

 原子力委員会も、政策大綱の改定という節目の時期に、専門性を生かして、この論議に本格的にかかわる必要がある。

 今の安全規制体制は、1970年代末に原型ができた。それ以前は、主に専門家で構成された原子力委員会と事務局が、推進も規制も一手に引き受けていた。

 だが、日本初の原子力船が実験航海でトラブルを起こすなどして規制体制の弱さが露呈した。これを受け、独立の規制組織として原子力安全委員会が創設された。

 現在も、規制の指針を検討したり、保安院の規制結果を「ダブルチェック」で確認するなど、重要な役割を果たしている。

 ただ、ダブルチェックは、時間とコストがかかる。二度手間でもある。確認に携わる専門家も、恒常的に足りない。

 経産省から保安院を分離することになれば、安全委員会と統合して、国民に分かりやすい効率的な規制機関を作るべきであろう。

2010年8月29日01時19分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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