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8月29日付 編集手帳

 最高裁判事を務めたこともある刑法学者の団藤重光さんは、死刑廃止論者としても知られる。仙台拘置支所で無人の刑場を視察した際、「普通の人の神経には到底耐えられないものだ」と思ったそうだ◆憲法は残虐な刑罰を禁じているが、最高裁は死刑を直ちに違憲とは言えないと判断している。「しかし、そこから直ちに絞首刑が合憲だという結論は出ない」。団藤さんは執行方法や死刑囚が直面する恐怖、処遇などが「残虐性を与える」と説く◆ある検察幹部から「職務とはいえ、絞首刑立ち会いは本当につらい」と聞いたことがある。別の方法や制度の改善余地を探るべしとは立場上、言えぬ時代だったと推察するが、今なら新しい議論が始まるかもしれない◆千葉法相の意向で、初めて東京拘置所の刑場が報道陣に公開された。自分が裁判員に選ばれて死刑判決に関与する立場になったらと、思いを巡らした人も多かったことだろう◆密室の情報公開が進むことに異論はない。他方、国民の8割超が死刑を容認する現実があり、犯人に極刑を望む被害者遺族の慟哭(どうこく)が続く限り、廃止論に火はつくまいと思う。

2010年8月29日01時19分  読売新聞)
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