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【社説】

「国のかたち」こそ争点だ 菅・小沢氏一騎打ちへ

2010年8月27日

 民主党の小沢一郎前幹事長が代表選立候補を表明した。菅直人首相と一騎打ちの公算だ。首相を選ぶ選挙である。「国のかたち」を堂々と論じてほしい。

 小沢氏は鳩山由紀夫前首相に立候補の意向を伝え、その後、記者団に「鳩山氏から、出馬の決断をするなら全面的に支援したいとの話があったので、不肖の身だが出馬を決意した」と語った。

 菅氏もすでに立候補表明しており、八年ぶりに党員・サポーター参加の本格的な代表選となる。

 党代表を選ぶと同時に首相を選ぶ選挙でもある。選挙権を持つ党所属国会議員と地方議員、党員らには心して臨んでもらいたい。

◆挙党態勢拒む首相

 小沢氏にとっては、偽メール事件での前原誠司元代表の引責辞任に伴う二〇〇六年四月の代表選以来、二度目となる立候補決断だ。

 小沢氏は自らの資金管理団体の不透明な土地取引という「政治とカネ」の問題を引きずってきた。

 検察は不起訴としたが、度重なる国会での説明要求には応じてこず、一般国民が参加する検察審査会の結論次第では起訴される可能性が依然残っている。

 それが鳩山前内閣の支持率を下げ、鳩山氏の首相辞任と同時に小沢氏が幹事長を辞するという「ダブル辞任」の一因になった。

 今回の代表選でも、党内一部の熱狂的な小沢シンパの要請にもかかわらず、立候補が困難視されていたのも「政治とカネ」の問題を抱えていたからにほかならない。

 小沢氏もそうしたことを自覚していたのであろう。当初は自身や自らに近い議員を政府や党の要職に就け、自らの影響力や求心力を維持するつもりだったようだ。

 しかし、「脱小沢路線」を掲げてきた菅氏が、小沢氏を含む挙党態勢づくりに引き続き難色を示したため、立候補決断に至った。

◆政権交代の原点に

 小沢氏の「政治とカネ」の問題を不問に付すことはできないが、立候補の動機が何であれ、代表選となることを歓迎したい。

 というのも、菅氏が何を目指すのか判然とせず、小沢氏と代表選を戦えば、国民の眼前で政策論争が活発に行われるからだ。

 菅氏は六月の首相就任後「最小不幸社会」や成長分野への重点的な公共投資で経済成長や社会保障充実を実現する「第三の道」などの理念・政策を掲げ、消費税率10%への引き上げ検討を表明した。

 しかし、七月の参院選惨敗後もこれらの理念・政策を維持するのか否か、〇九年の衆院選マニフェストの何を引き継ぎ、何を引き継がないのか、沈黙したままだ。

 急激な円高や株安など景況感の悪化に対する強いメッセージを、菅氏の口から聞くこともない。

 沈黙によって批判の芽を摘み、代表選を乗り切ろうとするのならそれだけで首相失格だ。あと三年間の政権運営は任せられない。

 代表選は一日告示、十四日投開票で、ポイント制で争われる。

 四百十二人の国会議員は各一票で二ポイントと算定。地方議員には全体で百ポイントが割り当てられ、ドント式で配分、党員・サポーターは三百ポイントで衆院三百小選挙区ごとに最多得票を得た候補が一ポイントを得る。

 選挙情勢は、前原氏や野田佳彦財務相のグループが菅氏を支持する一方、鳩山氏が一転して小沢氏支持に回るなど混沌(こんとん)としている。

 当選一回の国会議員や、党員・サポーターの投票行動も読み切れない。結果次第では、一年に三人も首相が代わることになる。

 菅陣営は、頻繁な首相交代に異論を唱えることで支持拡大を狙うが、ここは一度、政権交代の原点に返る必要がある。

 有権者は民主党政権に、自民党とは違う政治の実現を託した。

 その柱は官僚主導から政治主導への転換、無駄な事業見直しによる財源捻出(ねんしゅつ)、緊密で対等な日米同盟、であり、それは民主党が目指す「国のかたち」だったはずだ。

 自民党が五十四年にわたって構築した政治・経済・社会システムを変えるのは容易でないが、早々にあきらめ、自民党政治に回帰するなら民主党である必要はない。

 菅氏に今向けられているのは政権交代の原点を忘れ、官僚依存、増税路線、対米追随に戻るのではないかという疑いの眼差(まなざ)しだ。

◆混乱から新秩序を

 もし違うのなら、菅氏は日本をどんな国にしたいのか、その実現の具体策や「ねじれ国会」を乗り越える知恵を明確に語り、小沢氏と競い合わなければならない。

 小沢氏が勝って首相に就けば、「政治とカネ」の問題を執拗(しつよう)に追及され、国会の混乱は避けられないかもしれない。負ければ小沢氏が民主党を割って出て、政界再編に発展する可能性も指摘される。

 しかし、多少の混乱も、新しい「国のかたち」を実現する契機になるのなら、やむを得まい。

 

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