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阿久根市政混乱 地方自治の新ルール検討を(8月26日付・読売社説)

 首長と議会の不毛な対立を収拾し、違法状態を解消するには、新たな地方自治のルールを検討する必要がある。

 鹿児島県阿久根市議会が25日、元愛媛県警巡査部長を副市長に選任するなどの竹原信一市長による専決処分を反対多数で不承認とした。

 専決処分は、災害対応など議会が招集できない場合だけに認められている首長の権限だ。副市長選任などへの適用は無理がある。

 竹原市長は今年3月、「傍聴席にマスコミがいる」として市議会への出席を拒否した。その後、市議会側の臨時議会の招集要求に応じず、市長や市議、職員の賞与半減など19件の専決処分を行った。

 議会招集を求める鹿児島県知事の勧告も無視してきたが、今月上旬、ようやく招集に応じた。

 市の財政を改善するため、大胆な人件費削減や行政改革に取り組もうとする竹原市長の問題意識は理解できる。

 一方で、議会の協力を得る努力をせずに、専決処分を連発する手法は、独善的であり、常軌を逸していると言わざるを得ない。

 市議会への出席や臨時議会の招集を拒否することは、地方自治法に違反しており、許されない。

 だが、現行法は、首長が法律を守ることを前提としているため、市長の違法行為に対して、県や議会には有効な対抗措置がない。

 地方行政の停滞や違法状態の継続を防ぐためには、何らかの制度改正が求められよう。

 竹原市長は昨春、市議会から不信任を2度可決され、失職した後、出直し市長選で再選された。

 再選後、問題の多い言動を続けたため、市民団体が、市長の解職を目指して署名を開始し、解職の是非を問う住民投票実施に必要な数が集まったと発表した。

 仮に住民投票で過半数が賛成すれば、竹原市長は失職するが、再び出直し市長選に出馬する道は残されている。市議会は、反市長派が多数を占めており、市長と市議会の対立が今後、さらに長期化する恐れもある。

 日本の地方自治制度は、首長と議会の二元代表制のため、両者の間で民意がねじれる危険性が常にある。その場合、衆参ねじれ国会で見られるように、地方政治が機能不全に陥ってしまう。

 それを民主主義のコストと割り切って容認するのか、あるいは、より良い地方制度を本格的に検討・模索していくのか。阿久根市の例を、身近な地方自治のあり方を考える機会としたい。

2010年8月26日01時03分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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