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8月26日付 編集手帳

 漢語の「着想」には、なかなかの貫禄がある。和語の「思いつき」は、つまらないことを軽薄に思ったようにしか聞こえない――とは国語学者、大野晋さんの指摘である◆丸谷才一さんは『字音語考』と題する随筆のなかで大野説に共鳴し、戦時中の「焼土決戦」や「一億一心」などを例に挙げて言う。漢語は〈威勢がよくて、当りがきつい。意味がモウロウとしてゐるため、音の響きがいつそう刺戟(しげき)的になる〉と(作品社『日本の名随筆〈語〉』)◆民主党の代表選挙でキーワードのように語られる「挙党一致」にも、意味モウロウとして何となくもっともらしい漢語の特徴が表れている◆そもそも、民主党が先の参院選で大敗を喫した主因の一つは「政治とカネ」である。本来ならば閉門蟄居(ちっきょ)してしかるべき小沢一郎・前幹事長の出馬が取りざたされ、同じく謹慎組にいるはずの鳩山由紀夫・前首相が党内各グループ間の調停者然としてテレビカメラの照明を浴びる。天下の奇観というほかはない◆「挙党一致」などと漢語を用いず、意味のわかりやすい和語で言うのがいいだろう。「味噌(みそ)(くそ)もごちゃまぜ」と。

2010年8月26日01時42分  読売新聞)
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