炎天下で取材したためか、日ごろの不摂生がたたったのか、先週は熱中症でダウンしてしまった。三日間ほど寝込み、夏休みに予定していた旅行もキャンセルを余儀なくされた▼終戦記念日に取材に出た後、頭痛が激しくなり、悪寒を感じた。三八度を超える高熱が続きふらふらになった。驚いたのは、脱水症状の時に、のどがちっとも渇かなかったことだ▼眠り込んでいる時でも約一時間ごとに、家人がスポーツドリンクを飲ませてくれたので少しずつ体力が回復してきた。独り暮らしだったら、もっと重症になっていたかもしれないと感謝した▼二十四節気で、暑さがやむ時期とされる「処暑」を過ぎたのに、うんざりする暑さが居座っている。自然の異変は、秋の味覚の王者サンマにも及ぶ。日本近海の海水温が高く、北海道や東北の漁港では記録的な不漁のようだ▼安い解凍物で我慢するしかないが、塩焼きにすると内臓が崩れ、<さんま苦いか塩つぱいか>のほろ苦さが味わえないのがさみしい。かといって一本五百円では庶民には手が出ない▼同じ青魚でも、不漁が続いたイワシは今年は豊漁だ。<鰯(いわし)やく煙とおもへ軒の煤(すす)>(室生犀星)。焼きたての熱いのを頬(ほお)張って残暑を乗り切りたい。夜の帰り道、鳴き始めた虫の音を聞くと、秋の気配を感じるが、油断は禁物。どうか水分補給に心を配っていただきたい。