HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 36276 Content-Type: text/html ETag: "f4287-1248-4b91e840" Expires: Wed, 25 Aug 2010 03:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 25 Aug 2010 03:21:13 GMT Connection: close 8月25日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

8月25日付 編集手帳

 中身がからの時は傾いている。水をほどよく入れると、まっすぐに立つ。あふれるほど満たせば、また傾く。古代中国、()の国を治めた桓公(かんこう)の朝廷には不思議な容器があったという。古典『荀子』などに「宥坐(ゆうざ)の器」として記述が見える◆桓公は器をそばに置き、力を抑制して謙虚であらねばならぬことの戒めにした。器をお持ちでない方も心配には及ばない。普通は、周囲の目が「宥坐の器」となって(おご)りを戒めてくれる◆困るのは周囲の目をはばからぬワンマンの独断である。抑制が利かない。大阪府民共済生活協同組合の前理事長(75)が“お手盛り”で約2億5000万円の退職金を受け取っていた◆前理事長は月額報酬(約360万円)も独断で決めていたという。27年間も役員を務めた人だから、それなりの功績はあったのだろう。手続きを踏んだうえでの退職金ならば何億もらおうと文句をつける筋合いはないが、消費生活協同組合法で義務づけられた加入者代表による総代会の承認すら得ていないのでは、申し開きの余地はあるまい◆例の器がなくてよかった。あれば、あたりはびしょびしょだろう。

2010年8月25日01時31分  読売新聞)
現在位置は
です