HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 24 Aug 2010 21:12:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:暴力団排除 市民が協力する警察に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

暴力団排除 市民が協力する警察に

2010年8月24日

 暴力団との腐れ縁を絶とうと相撲界が格闘中だが、暴力団包囲網を築く取り組みは社会全体に広がっている。肝心なのは、市民や企業の勇気と結束を守り抜く警察の捨て身の覚悟だ。

 この十年間、全国の暴力団は八万人台だ。指定暴力団山口組、住吉会、稲川会で七割を占める。大半は山口組の影響下にあるとされ、実態は一極集中化が進む。

 暴力団が資金を吸い上げる手段は巧妙だ。建設業や金融業、証券取引といった企業を装ったり、公共事業に付け入ったりと裾野(すその)を広げている。大相撲の元大関琴光喜が手を染めた野球賭博のような古い手口も健在だ。

 警察が恐れているのは、来年四月に見込まれる収監中の六代目山口組組長の出所だろう。トップが社会復帰して資金稼ぎが活発化したり、勢力争いが激化したりする危険をはらんでいるからだ。

 山口組の原動力は、組長の出身母体で名古屋市に本拠を置く傘下の弘道会とされる。「警察官と会わない。事務所に入れない。情報を出さない」の“三ない主義”を徹底し、警察との対決色を強めている。警察の狙いも、今や山口組つまり弘道会の弱体化にある。

 とはいえ、暴力団に顔が利く熟練刑事の大量引退も相次ぎ、警察の捜査能力は衰えているのが実情だ。暴力団の壊滅には、社会全体で資金稼ぎを許さない包囲網を築き、兵糧攻めにするしかない。

 機運は高まっている。東京都や愛知県など自治体の多くが暴力団を締め出す条例作りに乗り出している。先駆けとなった福岡県条例は市民や企業が暴力団を利用したり、協力したりすることを厳に戒め、罰則を設けたのが特徴だ。

 例えば、建設会社がビル工事の反対運動を抑えてもらったり、飲食店がトラブル処理を頼んだりして暴力団に金品を渡せば懲役や罰金を科す。事務所に使われるような不動産の仲介も禁止だ。

 公共事業を発注する国や自治体に加え、銀行や証券会社でも暴力団との取引拒否を契約書にうたうようになってきた。日本相撲協会の不祥事を教訓に、さまざまな業界が勇気を出し、結束して暴力団に絶縁状を突き付けたい。

 ただ、勢力拡大や資金獲得のためなら手段を選ばないのが暴力団だ。事務所撤去運動を進める市民や利益供与を拒んだ企業が襲撃される事件は後を絶たない。身辺に危険が迫れば腰も引ける。盾となるべき警察がしっかりせねば暴力団排除の足並みはそろうまい。

 

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