HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 25 Aug 2010 01:14:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:円高株安 政府・日銀が無策では:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

円高株安 政府・日銀が無策では

2010年8月25日

 円高と株安が一段と加速している。菅直人首相と白川方明日銀総裁の会談が電話協議にとどまり、金融市場が政府・日銀の無策を突いた格好だ。「動かぬ日銀」が自ら信認を傷つけてもいる。

 円相場は東京市場で一時、一ドル=八四円台に上昇した。市場では「八〇円割れも時間の問題」という見方が強まっている。円高によるデフレ進行や輸出製造業への打撃を嫌って、東京株式市場の平均株価は終値で九〇〇〇円の大台を割った。

 この間の政府・日銀の動きは、結末が見えている三文芝居を見せられているかのようだ。

 円高・株安が進んだ先々週末、菅首相が白川総裁との会談に傾いて対応策を探ろうとしたものの、日銀側は追加緩和に難色を示す。成果が見込めないまま会談に臨むわけにもいかず、といって何もしないわけにもいかず、形ばかりの電話協議でお茶を濁した。

 中途半端な結末に市場は失望し、円高と株安が一層進んだ。事前に十分予想された展開である。成熟した国とは思えぬ「未熟な政策運営のお手本」ではないか。

 お粗末さの根本的理由を探れば、デフレ脱却に本腰を入れようとしない日銀に本来の責任がある。今回は米連邦準備制度理事会(FRB)が追加の金融緩和に動くと予想されていながら、日銀は動かなかった。結果的に日米の金利差が縮小し、円高が進んだ。

 菅首相が総裁との会談を模索した段階でも緩和のチャンスはあったが、やはり日銀は見送った。

 日銀が頑として動かないのは、民主党代表選を控えた菅首相の求心力が衰えているのを見透かしているからだ。小沢一郎前幹事長の動き次第では首相交代の可能性が捨て切れず「いま緩和しても、首相が交代すれば再び緩和を迫られる」と踏んでいる。緩和策が無駄弾になるのを恐れているのだ。

 それは、とりもなおさず日銀の金融政策が「政治化」している実態を示している。本来、経済実態に即して運営されるはずの金融政策が政権との駆け引きによって決まっている。こうした傾向は年々、強まる一方だ。

 政治化した日銀は結局、日銀自身の信認を損なう。政権が求心力を回復すれば言うがままになる、と今度は逆に政権側から日銀の足元を見透かされるからだ。

 いま求められているのは政府と日銀の綱引きではない。両者が結束してデフレに立ち向かう断固たる意思表明と行動である。

 

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