HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 24 Aug 2010 00:14:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:海保ヘリ墜落 情報隠しは体質なのか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

海保ヘリ墜落 情報隠しは体質なのか

2010年8月24日

 なぜ隠す必要があったのか。第六管区海上保安本部がヘリ墜落をめぐり、飛行目的という重大な情報を組織的に隠蔽(いんぺい)していた。同僚五人の命を失った大事故なのにである。やはり役所体質なのか。

 事故は十八日午後だった。香川県沖の瀬戸内海で、海上保安庁広島航空基地のヘリが送電線に接触、墜落した。乗員五人全員が遺体で発見された。

 飛行目的は当初、パトロールと発表された。だが、水島海上保安部の巡視艇で体験航海中の司法修習生に向け、デモンストレーション飛行を兼ねていたことが、報道機関の問い合わせで分かった。

 事故は、廃船調査とデモ飛行の合間に起こった。飛行計画に問題はなかったのかが問われる。原因にかかわる根幹部分を隠した点で、悪質と言わざるを得ない。

 デモ飛行の非公表は「総務課長の個人的判断」としていた説明を、「六管幹部の協議で決め、本部長も了承」と修正もした。国民に向けた記者会見でうそをついたことは、言語道断である。

 隠した理由は何なのか。事故とデモ飛行の現場は十七キロ離れ、六管が言うように「因果関係はない」かもしれない。だが、デモ飛行へ急ぎたい乗員らの心理が働いたとすればどうだろう。

 修習生が責任を感じないよう、検察側に配慮したとも伝えられる。しかし、隠蔽を知っている方がより責任を感じるのではなかろうか。

 副機長が訓練の一環として機長席に座っていたことも後日、明らかとなった。当初から分かっていた単純な事実がほぼ判明したのは発生から四日目。前原誠司国土交通相の非難は当然である。

 謝罪会見で本部長は「世間と海保の常識は違った」と語った。うそをつかないのが「人間の常識」と言いたい。説明を尽くしてこそ、原因解明、再発防止につながることを肝に銘じてほしい。

 「都合の悪い情報は隠す」「公表は最小限にとどめる」は、役所の古い体質である。イージス艦「あたご」と漁船、潜水艦「なだしお」と釣り船の衝突事故では、ともに海上自衛隊の隠蔽体質が批判を浴びた。

 海上保安庁は海難救助のプロ集団でもある。感動の救助劇を描いた映画「海猿」で、あこがれる若者が増えた。彼らの夢をそがないでほしい。積極的に情報公開してこそ公益、国民益になる、という時代の要請に応えてほしい。

 

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