
HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37759 Content-Type: text/html ETag: "10084a-15c2-e47ec240" Expires: Mon, 23 Aug 2010 03:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 23 Aug 2010 03:21:38 GMT Connection: close
![]() 交通基本法 問題はらむ「移動権」の保障(8月23日付・読売社説)バスや鉄道の運行が限られていて、通勤や買い物など日常生活の大半をマイカーに頼らざるを得ない。それが、多くの地方都市の現状だろう。 こうした事態を改善しようと、国土交通省が、来年の通常国会への提出に向けて「交通基本法」の検討を進めている。 車を運転できない高齢者や障害者などにも、生活上の最低限必要な「移動が保障される権利」があるとし、それを実現するために、公共交通機関への支援を充実することを柱にしている。 すでに国交省は移動権の考えを先取りし、2011年度予算の概算要求で、公共交通支援として10年度の2倍の約400億円を要求しようとしている。 国が地域の交通弱者に配慮する理念に異論はないが、基本法が成立すれば、さらに予算獲得の口実に使われ、新たな予算のばらまきにつながる恐れがある。基本法の内容の抜本的見直しが必要だ。 交通政策は、利用者の利便性を追求する公共性と、運営事業体の経営健全性を確保する効率性とのバランスが重要だ。公共性を重んじるあまり効率性を阻害してはならない。 この点で、基本法は、社会福祉的な色彩が強く、公共性に傾き過ぎていないか。 野党時代の民主党は06年に、今回とほぼ同じ考え方でまとめた交通基本法案を社民党と提案したが、移動権の保障は財政を圧迫するなどと指摘され廃案となった。 現在検討中の基本法も既存の政策との整合性を欠くなど、依然として多くの問題を抱えている。 道路、鉄道、航空など、わが国全体の交通体系をどう構築するかという観点が重要だが、現状では、その点が極めて不明確だ。 地方の交通体系を、車から公共交通機関に転換させることが基本法の狙いと言うなら、結果的にマイカー利用を促す政府の高速道路無料化政策と矛盾する。 地方の公共交通機関の大半が経営難に苦しむ中、移動権を法律に明記すれば、不採算路線が廃止された場合、住民が権利の侵害を理由に相次いで訴訟を起こし、行政が混乱をきたす恐れもある。 地域の足を確保するというなら、ほかに様々な手法が考えられよう。自治体によっては、事業者と連携し、次世代型の路面電車や乗り合いタクシーなどを導入し、成功した例もある。 国は、地方が地域の特性に応じてまとめる改革案への支援にこそ力を入れるべきであろう。 (2010年8月23日01時18分 読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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