HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 22 Aug 2010 23:12:25 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:高速無料化実験 功も罪も見えてきた:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

高速無料化実験 功も罪も見えてきた

2010年8月23日

 高速道路無料化の社会実験で、功罪が見えてきた。対象区間の沿線観光地はにぎわったが、渋滞の発生は物流効果を抑制した。地域の特性や交通全体を見据えた、入念な検証が必要である。

 実験の対象は三十七路線五十区間で、全高速道路の約二割に当たる計千六百五十二キロ。来年三月まで続けられる。

 国土交通省によると、実験開始の六月末から一カ月の交通量は、実験前と比べ平均約二倍に増えた。山形道や舞鶴若狭道など三〜四倍に急増した区間もある。

 その分、平日は一日当たり約三区間、休日は約十区間で渋滞が発生した。一般道との合流部が目立つ。同省は、並行する一般道の渋滞が解消された点を踏まえ「一定の効果は出ている」とする。

 だが、内実はどうだろう。沿線への観光客は悪天候日を除けば約一割増で、「特需」をもたらした施設もあった。一方、並行一般道には客数が減った個所も出た。各地域で総合的な評価が必要だ。

 民主党が「最大の効果」と見込んだ物流コストの引き下げも、期待外れの結果だった。同省の運輸業者アンケートによると、高速道路の利用回数、コスト面とも、実験前から「変化なし」が過半数を占めた。

 時間との闘いが強いられる業界にとって、渋滞は命取りになりかねない。全日本トラック協会は「時期や地域によって影響は違う」と即断を避ける。しかし、行楽期などと重なるたびに、渋滞対策に迫られては困るはずだ。

 このほか高速バスや並行する鉄道の旅客数が減少し、他の交通機関への影響も避けられなかった。

 そもそも無料化実験の事業費は六千億円を予定していたが、一千億円に減額された。限られた区間での検証が、全体を想定し得るのかどうか疑問である。

 なぜなら対象は交通量が少ない地方に多い。両端が有料道に接続する区間もあり、すべて無料化してこそ分かる効果があるからだ。

 来年度も継続されるが、財政難から大幅増額は不可能だ。首都・阪神高速を除く原則無料化には年間一兆三千億円が必要とされ、政府が目標とした二〇一二年度の実施は、もはや困難である。

 「上限二千円」案はどうなるのか。高速道建設に費やした三十兆円を超える債務をどうするのか。地球温暖化対策との整合性からも異論が多いだけに、無料化自体の見直しは避けられない。

 

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