HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37601 Content-Type: text/html ETag: "100b19-15ec-dcf77300" Expires: Sat, 21 Aug 2010 01:21:29 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 21 Aug 2010 01:21:29 GMT Connection: close パキスタン洪水 対テロ前線国に支援を急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

パキスタン洪水 対テロ前線国に支援を急げ(8月21日付・読売社説)

 パキスタンが80年ぶりという甚大な洪水被害に見舞われている。

 雨を降らせるモンスーン(季節風)は今月末まで続き、今後も被害の拡大が懸念される。

 国連総会が特別会合を開催し、加盟国にパキスタン支援を促す決議を満場一致で採択した。被災地域が広範囲に及び、深刻な被害になっているにもかかわらず、国際的な支援が集まらないためだ。

 国連会合の開催を主導した米国は、拠出済みの1億ドル(約85億円)に加え、6000万ドル(約51億円)の追加支援をすると表明した。

 パキスタンは対テロ戦争の最前線国だ。国内のイスラム系武装テロ組織は、災害支援を口実に影響力を拡大しようと動いている。自然災害がテロを助長することのないよう、国際社会の早急な支援が求められる。

 水害は、パキスタン北西部のインダス川流域を7月下旬に襲った集中豪雨が原因だった。土砂崩れや鉄砲水で、家屋や橋などが流され、道路は各地で水没した。

 影響は中流や下流域にも及び、死者は1500人余り、被災者は全体で2000万人に上る。国民の1割超が被災した勘定だ。

 発生から3週間を経た今も、全国で800万人余りが住まいを失うなど支援を必要としている。

 避難民は食料や水、テントなどが十分に届かないと訴えている。高温多湿に加え、悪化した衛生状態のため、子供や老人らにコレラやマラリアが発生している。

 国連は今回の被災規模から、4億6000万ドル(約391億円)の支援を各国・機関に呼びかけている。しかし、経済不況のもと、各国とも反応は鈍い。米国、欧州、豪州などを合わせても半分にしかならない。

 日本は、国連会合で藤村修外務副大臣が1440万ドル(約12億3000万円)の支援に加え、陸上自衛隊のヘリコプター部隊を派遣することを表明した。

 救援物資の輸送や、交通網の寸断で孤立した被災者の救助が期待できる。被災地のニーズに最も合致した支援策といえよう。

 課題は国際緊急援助隊派遣法に基づく派遣のため、自衛隊員が武器を携行できないことだ。パキスタンの治安状況を考えれば、全く危険がないとは言い切れない。

 「自然災害での支援だから武器は不要のはず」という発想の援助隊法に問題がある。以前から法改正を主張している自民党などと協力し、治安の悪い場所には武器を携行できるよう改めるべきだ。

2010年8月21日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です