HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37600 Content-Type: text/html ETag: "b20a9-15b2-a2378fc0" Expires: Fri, 20 Aug 2010 00:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 20 Aug 2010 00:21:41 GMT Connection: close 中国産ウナギ 今度は輸入元が偽装された : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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中国産ウナギ 今度は輸入元が偽装された(8月20日付・読売社説)

 またも食品の不正が明るみに出た。食品業界の一部に残る、虚偽がまかり通る体質の根深さを示す事件でもある。

 中国産のウナギかば焼きの輸入元を改ざんした食品衛生法違反容疑で、大手スーパーのイトーヨーカ堂の元海外担当マネジャーらが逮捕された。

 実際にはヨーカ堂が自社の販売用に輸入したものを、東京の魚介類輸入販売業者に転売した際、この業者が輸入元であるかのように偽装して、別の複数の業者に転売したという。

 中国製の冷凍ギョーザ事件でもそうだったように、輸入食品に問題が生じた場合、まず輸入元の責任が問われる。輸入元から名前を消すことは、その責任から逃れようとすることであり、流通の透明性を損なう行為だ。

 輸入検疫などで、2005年に中国産ウナギから発がん性が疑われる合成抗菌剤が見つかった。日本では食品への含有が禁止されている物質で、これを境に消費者の買い控えが起きていた。

 ヨーカ堂が魚介類輸入販売業者に転売したのも、05年以前に輸入した分がさばききれずに、在庫が膨らんだためだった。

 中国産ウナギを、消費者に人気のある国産に偽装する事件は少なくないが、今回の輸入元の偽装には、合成抗菌剤の問題が関係しているのだろうか。

 ヨーカ堂側は偽装を指示したことを否定している。だが、取引上の優越的な立場を使った犯行だったとの疑念もぬぐえない。引き受けた業者にはどんな利益があったのだろうか。警察は徹底捜査でこうした疑問に応えてほしい。

 この中国産ウナギの転売過程では、横浜市の業者が賞味期限を2年半も延ばして販売したとして警察の捜索を受けている。

 しかも、この業者が扱ったウナギからは問題の合成抗菌剤も検出されていた。ヨーカ堂側は自主検査をして、合成抗菌剤が検出されなかった商品だけを転売したと説明しているが、いったい、どのような検査をしたのだろうか。

 警察が昨年1年間に摘発した食品偽装事件は34件に上り、統計を取り始めた2002年以降で最多となった。こうした不正には厳罰化で臨むしかない。

 中国産食品の安全性が疑われる事件が絶えず、消費者の不安は一向に解消されない。中国政府は信頼の回復に向け、食品の生産に対する監督強化に乗り出しているというが、日本としても厳しく注文をつけていくべきだ。

2010年8月20日01時25分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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