HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 17 Aug 2010 22:12:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:地下鉄一元化 利用者本位の議論せよ:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

地下鉄一元化 利用者本位の議論せよ

2010年8月17日

 東京都心を走る東京メトロと都営地下鉄の統合をめぐり国と都が協議を始めた。利用者の利便性向上を訴える都に対し、国は都営の巨額債務を警戒して慎重だ。利用者の視点での議論を望みたい。

 東京メトロ半蔵門線と都営新宿線が乗り入れている東京都千代田区の九段下駅は、地下鉄分断が生み出した“不便の象徴”だ。

 地下四階の半蔵門線押上方面と新宿線新宿方面のホームは、同じ一つのホームを壁一枚で隔てただけの造りだ。それでも乗り換えるには地下三階に上がって改札を通り、再び下りねばならない。利用者の便益は度外視されている。

 東京の地下鉄は、一九四一年設立の帝都高速度交通営団が路線拡充を担った。だが高度成長期の人口急増に整備が追い付かず、都も五八年に免許を取り建設に乗り出した。これが二元化の発端だ。

 地下鉄網の完成を見据えて営団は民営化が決定され、二〇〇四年に国と都が株式を持つ東京メトロに生まれ変わった。株式は国が53・4%、都が46・6%を保有している。今やメトロ九路線と都営四路線は首都を支える大動脈だ。

 ところが、不便極まりない。初乗り運賃は都営百七十円、メトロ百六十円と食い違う。双方を乗り継ぐと最低二百六十円かかり割高だし、二つの改札を出入りせねばならない。切符売り場の料金や路線の案内表示も分かりづらい。これでは国内のみならず海外からの旅行客にとっても不親切だ。

 双方の一元化でこんな問題が解消すれば、間違いなく便利になる。将来の東京の人口減少を踏まえれば、人件費の抑制や車両メンテナンスの共有といった合理化を図ることは、地下鉄経営にとってもメリットを生み出すだろう。

 ただ、難問は山積みだ。都営は〇六年度に黒字転換したが、〇八年度の累積損失は約四千四百億円、長期債務は約一兆一千五百億円に上る。統合すればメトロ株の価値が低下しかねず、国は及び腰だ。運賃体系一本化で都営が値下げすれば利用者には朗報だが、巨額の減収になる。都営職員の身分をどう扱うかも課題だ。

 メトロの速やかな完全民営化を定めた東京地下鉄株式会社法(メトロ法)に基づき、財政再建が急務の国は早く高値でメトロ株を売却したいとの思惑がある。都が統合を急ぎたい理由はそこにあるが、双方とも株主は納税者であることを忘れず、利用者の負担軽減と利便第一を貫いてほしい。

 

この記事を印刷する



Ads by Yahoo!リスティング広告



おすすめサイト

ads by adingo