最も長い英語の単語とは、何か。大まじめに答えるならこれだ。<anti(アンチ)dis(ディス)establi(エスタブリ)sh(ッシュ)menta(メンタ)ria(リア)nism(ニズム)>▼手元の英語辞書には「国教廃止条例反対論(特に十九世紀の英国国教についていう)」とあるが意味は何でもよろしい。とにかく文字数は二十八もあって、これは、一つの自然語では一番長いとされている英語である▼だが、そう言うとニコニコ顔で否定する人があるかもしれない。いやいや、「ほほ笑み」の複数形<s(ス)miles(マイルズ)>の方がうんと長いよ、と。たった六文字なのに? 答えはこうだ。だって、sとsの間が一マイル(約一・六キロ)もあるじゃないか▼前者の長ったらしい正答を知っていたって、へぇ、で終わり。だが、後者のジョークなら、あるいは、誰かに小さなスマイルぐらい浮かべてもらえる気もする。否、ジョークさえ不要かもしれない▼「笑顔」をテーマに住友生命が約二千人を対象に実施したアンケートによると「あなたを笑顔にしてくれる言葉は?」の問いで断トツの最多だった答えはこの変哲もないひと言だった。「ありがとう」▼脳のミラーニューロンというものの働きで、人の笑顔を見ると自分も笑顔になる傾向があるやに聞く。されば一挙両得。誰かに言う「ありがとう」は自分をも笑顔にする言葉ということになる。けちけちせず口に出すとしよう。