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8月17日付 編集手帳

 〈肝臓を提供した少年の母親に「汚れのない肝臓でした」と言うシーンがあって、家族に伝える必要がある言葉なのかと悩み、監督に何度も相談しました〉◆脳死移植を真正面から描いた映画「孤高のメス」で主人公の外科医を演じた俳優の堤真一さんが、本紙の取材にそう語っている。確かに、臓器提供者の家族にどんな言葉を(ささ)げたところで、移植に同意した決断のつらさと尊さを前にどれほどの意味があろう◆だが結局、堤さんと監督はこのセリフを残す。それでも家族に声を掛けたい、という思いが伝わってくるシーンだった。涙した人も多いのではないか◆本人が意思表示カードを持っていなくても家族の同意で脳死移植を可能にした改正臓器移植法が施行されてから、きょう17日でまだ1か月。この短期間に改正法に基づく初の臓器提供があった◆交通事故で脳死になった男性は、10代から60代まで5人を救った。「命のリレー」などという新聞の見出しも、男性の家族に対しては陳腐すぎる表現かもしれない。現実の重みは無論、映画と比ぶべくもないが、堤さんと、演じた医師の苦悩を改めて(おも)う。

2010年8月17日01時26分  読売新聞)
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