HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 16 Aug 2010 22:13:47 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:阿久根の混乱 議会も市民も問われる:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

阿久根の混乱 議会も市民も問われる

2010年8月16日

 独断的な専決処分を繰り返した鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、ようやく臨時議会の招集を決めた。地方自治のあるべき姿について議論が深まれば、全国自治体の参考にもなるはずだ。

 阿久根市は天草灘に面し、農漁業が主産業。人口は二万三千人余、予算規模は百億円余と、いずれも減少傾向が続く。

 自衛官、市議を経た竹原市長は、財政難を打開しようと職員給与と議員定数の削減を公約に掲げ、一昨年八月に初当選した。

 早々に、ホームページで職員の給与明細を公開し、ブログでは不人気議員アンケートを実施するなど、公約実現への動きを加速させた。そこには「急がば回れ」の発想はなかった。

 議会で二度の不信任決議を受け失職したが、昨年五月の出直し市長選で再選を果たした。

 改革に期待する市民から再びチャンスを与えられたものの、「嫌いなマスコミがいるから」と今年の三月議会を欠席し、六月議会も招集しなかった。

 反市長派が多数を占める議会で、議案可決は見込めない。だから「議会はいらない」では困る。

 竹原市長は議会を開かない約四カ月間に、職員賞与の半減、議員報酬の日当制、副市長の選任まで十数件を専決処分した。いずれも慎重審議が必要な案件なのに、である。

 首長が改革を掲げて指導力を発揮することには大賛成だ。しかし、地方交付税を受けながら地方自治のルールを無視するような行動はどうだろう。

 地方自治法の“欠陥”も指摘したい。議会招集を拒否する首長に対し、議会側には対抗手段がない。地方自治体は首長、議員とも有権者に選ばれた「二元代表制」だが、議長は議会招集権をもっていない。法改正も含め考えるべきである。

 長野県軽井沢町、神奈川県開成町など約十の自治体で実施されている「通年議会」は、こうした問題を防ぐ仕組みでもある。阿久根市の臨時議会では専決処分の報告と採決にとどめず、自ら議会改革の議論を始めてほしい。

 竹原市長再選の原動力は“草の根”で得た市民の支持だった。しかし一転、今度は市民が市長のリコールへ向け署名を始める。

 阿久根市民はいま、市長を選ぶことの重要性を痛感している。市民の手による真の地方自治の在り方をぜひ見つけてほしい。

 

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