HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 38117 Content-Type: text/html ETag: "100687-1619-4aae4140" Expires: Sun, 15 Aug 2010 23:21:41 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 15 Aug 2010 23:21:41 GMT Connection: close 港の国際競争 上海や釜山が遠くに見える : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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港の国際競争 上海や釜山が遠くに見える(8月16日付・読売社説)

 世界の巨大コンテナ船が素通りしている日本の港の魅力を高め、上海や釜山など周辺国のライバル港に奪われた荷物を取り戻す――。

 こんな目標を掲げ、国土交通省が、「国際コンテナ戦略港湾」に京浜港(東京、横浜、川崎)と阪神港(大阪、神戸)の2地域を指定した。重点投資で2020年にはアジアで五指に入る物流拠点に育てるという。

 低料金や24時間サービスなどで港の競争力を高めることは、物流コストが収益を左右する日本の製造業にとって大きな恩恵となる。限られた港湾予算にメリハリを付けるのは悪くない。

 しかし、施設整備を優先するだけで荷物が増えるとは思えない。世界の海運界から「コストが高く、搬出入に時間もかかる」と敬遠されてきた港の運営全般を改革することが重要である。

 30年前、世界のコンテナ取扱量の上位20港には神戸、東京、横浜が名を連ねていたが、09年は最上位の東京でも26位だ。トップ5はシンガポール、上海、香港、深セン、釜山とアジア勢が独占した。(深センの「セン」は土ヘンに「川」)

 自動車部品や機械製品などを運搬する大型のコンテナが、国際物流の主役を担うようになった。

 それに対応して、多数のコンテナを一度に運ぶ超大型船が横付けできる岸壁があり、入港料や施設使用料が安く、陸路との連絡もよい港が不可欠となっている。

 アジア各国がこうした要素を取り込んだ特定港湾に集中投資する間、日本は完全に出遅れた。地方の意向に配慮してばらまき型の港湾投資を続けた結果、使い勝手の悪さが改善されないまま放置されてしまった。

 今では、日本の荷主でさえ地方港からアジアの巨大港に運び、欧米航路に乗せている。釜山を使えば、積み替えのコストは日本より4割も安くて済むという。これでは日本に寄港しない海運会社が増えるのも無理はない。

 戦略港湾は、遅ればせながら、埠頭(ふとう)公社の統合、民営化などで港の効率運営を目指す方針だ。

 だが、港湾作業が船会社や荷役会社ごとの縦割りとなっている現状では、効率化を図ろうとしても容易にはいかない。

 国交省は04年に「スーパー中枢港湾」として横浜や神戸など6港を指定したが、中途半端な整備に終わった。今回も2大都市圏に配慮し、1地域に絞り込めなかったのが実態だろう。

 今度こそ、ライバル港に学んで大胆に改革すべきだ。

2010年8月16日01時34分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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