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８月１３日付　よみうり寸評

　巨人のエースとしてプロ野球の草創期を支えた沢村栄治投手は、戦争で３度召集された。最初に帰還した時はノーヒットノーランを達成している◆しかし、２度目に戦地から戻った後は活躍できず、最後は代打での出場だった。名古屋（現中日）の石丸進一投手は、特攻の朝、戦友とキャッチボールをしてから機上の人となった◆野球を愛しながら戦争で命を落とした選手たちの生涯を、俳優の山田雅人さんが語り伝える公演を聞いた。関係者から取材を重ね、これからも毎年夏に公演をしていく予定だという◆セ・リーグは今月中旬以降、６球団の選手が復刻版のユニホームを着て対戦する「オールド・ユニホーム・シリーズ」を１８試合行う◆巨人、阪神、中日は昭和２０年代のデザインだ。平和が戻り、プロ野球が再興に向かった時代。懐かしいファンもいるだろう◆東京ドーム前にある「鎮魂の碑」に、沢村投手や石丸投手ら６９人の戦死者の名が刻まれている。もう一度、ユニホームに袖を通すことができていたら、と思う。

（2010年8月13日13時49分読売新聞）

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