HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 14 Aug 2010 02:12:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:政経対話 海外利益を国内雇用に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

政経対話 海外利益を国内雇用に

2010年8月14日

 民主党と経団連が政策対話の継続で合意した。日本は海外投資の伸びが国内向けを上回り、産業空洞化の不安が尽きない。海外事業の利益を国内に還流させ、成長を促す手だても論じ合うべきだ。

 「企業が元気を出し、経済が成長して初めて国民生活の向上や雇用の創出が可能になる」。日本経団連の米倉弘昌会長が民主党の枝野幸男幹事長らにこう切り出した。政権交代後、初の政策対話でのことだ。

 六月の完全失業率は5・3%、四カ月連続で悪化した。景気が回復に向かっても雇用が縮むジョブレス・リカバリーが収まらない。

 国内に仕事場を増やして企業収益を拡大し、勤労者の所得を引き上げる。容易には実現が難しいこの好循環をどう手元に引き寄せるか。それが問われている。

 企業が海外で得た利益を、環境分野などの技術革新に充てて雇用を生み出す−。経団連は対話に先立って具体案も提示済みだ。

 日本政策投資銀行の設備投資調査によると、二〇一〇年度の海外投資額は前年度比35%も増え、国内の6%をはるかに上回った。中でも電機は55%増とすさまじい。

 グローバル化が進む中、円高が長引けば「国内産業の海外脱出がさらに加速する」と経営者の多くは指摘する。今や日本企業の海外子会社には二十兆円近い巨額の内部留保が積み上がってきたのに、実は国内にあまり戻ってこない。

 企業は少子化で需要不足に拍車が掛かる国内向け投資をためらい、進出国の生産拠点増強に再投資しているのが実態だ。サムスン電子一社で二兆円近くを還流させ、国内の研究開発などに投資する韓国とは大きな開きがある。

 それでも、〇一年に五千億円だった日本への還流額は二兆五千億円ほどに膨らんだ。利益を国内に移す際の法人税課税を、〇九年に原則撤廃したことが呼び水になった。こうした措置に加えて投資減税など、外国企業も大量に呼び込める環境を整えるべきだ。

 政府は二〇年度までに五百万人の雇用を生み出す新成長戦略を掲げた。菅直人首相自ら「雇用拡大が最優先」と語っている。

 円高対策を含め、もはや無策では済まされない。海外で稼いだ民間資金を活用して強い経済を築く。財政窮迫の今こそ、そんな工夫が求められている。

 空洞化にたじろがず、日本を魅力ある投資対象国に衣替えする。政治と経済界が協働し、実のある政策をいくつも打ち出すときだ。

 

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