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8月13日付 編集手帳

 〈私バカよね おバカさんよね…〉とはじまる細川たかしさんの歌『心のこり』が世に出た頃、曲名を見て、ある人が言ったという。「肩だけでなく、心も凝るんだねェ」◆出版社で編集者の経験が長い須磨野波彦さんが著書『日本語探偵出動』(冬花社)に書いていた。『心のこり』は、もちろん「心残り」だが、その人は「心の凝り」と勘違いしたらしい◆人は何かでミスをすると、〈私バカよね〉とつぶやいてストレスをため込む。ストレスが「心の凝り」であることを思えば、まんざら意味の通らぬ勘違いでもない◆ストレスを抱えた女性は妊娠しにくい――米国立衛生研究所などが研究結果をまとめた。子供を望む夫婦は、妊娠に失敗したことのストレスでいっそう妊娠しにくくなる悪循環に陥るという。「心の凝り」は生命の誕生にまで影を落とすようである◆〈言ハザルト見ザルト聞カザル世ニハアリ思ハザルヲバイマダ見ヌカナ〉。古歌にもあるように、「思わない」ことほどむずかしい行為はない。過去のつまずきは忘れるのが一番と分かっていても、心は肩のように()んでほぐせないのがつらい。

2010年8月13日01時32分  読売新聞)
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