HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 10 Aug 2010 02:14:30 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:「私がよく眠れるのは、われわれの作戦ゆえに、多くの人間が人…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年8月10日

 「私がよく眠れるのは、われわれの作戦ゆえに、多くの人間が人生をまっとうできたと確信しているからだ」。広島に原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」の機長ポール・ティベッツ氏は生前、コラムニストのボブ・グリーン氏に語っていた▼広島での平和記念式典にルース駐日米大使が初参列したことに、ティベッツ氏の子息が「無言の謝罪だ」とオバマ大統領を批判したが、本土上陸作戦を回避し、結果的に多くの命を救った−という米国の根強い戦争観を代弁したのだろう▼原爆を肯定するには「免罪符」が必要だった。日本政府がポツダム宣言を「黙殺」したためだという「神話」もその一つ。投下の命令は、宣言の前にすでに実施部隊に届いていたのだ▼本土決戦で予想された米軍側の犠牲者も、当初の二十五万人から百万人に「上方修正」され、原爆が百万人の米兵の命を救ったという伝説が歴史的事実になった(仲晃著『黙殺 ポツダム宣言の真実と日本の運命』)▼きのうの長崎の式典に大使は出席しなかったが、原爆投下を支持する世論が強い中、一日でも大使を参列させたのは、大統領の勇気ある決断だったと思う▼原爆投下は、日本軍の侵略行為の当然の帰結、という冷徹な見方もアジアの民衆の中にある。核廃絶をリードする国になるには、あらためて加害と向き合う勇気と覚悟が求められる。

 

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