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8月7日付 編集手帳

 昨年亡くなった五代目三遊亭円楽さんが小学生の頃という。道で近所のおじさんに頭をポカリとやられた。おじさんは黙って通り過ぎ、わけが分からない。『圓楽芸談しゃれ噺』(白夜書房)に書いている◆あとで父親が言った。「お前、ぶたれたろ?」。知っている人には“こんにちは”と挨拶(あいさつ)するものだ。鏑木さんはお前に憎まれてでも、それを教えようとしてくれた。お礼を言いなさい◆地域住民の支え合いが弱くなっている――本紙の世論調査に78%の人がそう答えた。高齢者〈不明〉騒動を数字に重ねる方もあろう◆わが胸に問うてみれば、昔の濃密な近所づきあいに(あこが)れつつも、互いに干渉しない当世風の気楽さも捨てがたいのが正直なところである。近所の子をいきなり張り倒すわけにもいかない◆東京から北海道・富良野に移り住んだ脚本家の倉本聰さんは「まわりに迷惑をかけること」が地方に住むコツだという(理論社『左岸より』)。困りごとを持ち込み、持ち込まれて人は親しくなる。都会でも使えよう。ほんの少し甘えん坊に、ほんの少しお節介(せっかい)に、そこから始まる近所づきあいもいい。

2010年8月7日01時18分  読売新聞)
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