HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37570 Content-Type: text/html ETag: "100950-15fd-48b88540" Expires: Tue, 03 Aug 2010 21:21:45 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 03 Aug 2010 21:21:45 GMT Connection: close 光化学スモッグ 被害の再拡大に注意が必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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光化学スモッグ 被害の再拡大に注意が必要だ(8月4日付・読売社説)

 もう過去のものと思われていた「光化学スモッグ」の発生が、再び増えている。特に、都府県境を越えて、広域に及ぶ例が目立つ。

 被害も、目やのどの痛みなどを訴える人が年間1000人を超す年が少なくない。

 事態を重視した気象庁は3日から、全国の光化学スモッグ発生予想を前日の午前に出す「スモッグ気象情報」を始めた。

 これまでは当日午前に各気象台が予想を発表し、これに基づき都道府県が、独自の基準で注意報などを出していた。これをさらに早い“予報”とする。

 夏は屋外で活動する機会が増える。新しい気象情報を参考に、被害を最小限にとどめたい。

 光化学スモッグの原因は、自動車や工場などから出る窒素酸化物と炭化水素だ。これらが太陽の紫外線で光化学反応を起こして、オゾンのような「光化学オキシダント」を発生させる。

 風が弱いとこれが一地域にとどまり、(もや)がかかるので「光化学スモッグ」と呼ばれる。

 4月から10月にかけて発生するが、特に7、8月の気温が高く日差しの強い日に、風が弱い、という条件が重なると起きやすい。

 気象庁も、こうした条件から予報を出すかどうか判定する。

 光化学スモッグが日本で注目されるようになったのは、1970年7月のことだ。東京都内で屋外のクラブ活動をしていた高校生に集団被害が出た。

 高度経済成長で大気汚染が拡大したためで、被害報告が5万人近くになった年もある。その後、工場、自動車などの排出ガス規制が進み、発生、被害は減った。

 再び増え始めたのは90年代以降だ。注意報などの発令延べ日数が年に100〜200回以上と、70年代並みになった。この5年は山形、長野県など都市部から遠く離れた地域でも発生している。

 環境省がまとめている大気観測データでも、光化学オキシダントの濃度が全国でじりじり上昇していることが確認されている。

 原因として指摘されているのは中国からの「越境汚染」だ。経済成長とともに増えた大気汚染物質が気流に乗って飛来する。

 また、都市部で気温が上昇して光化学反応が起きやすくなったとの説もある。だが、科学的、総合的な解明は進んでいない。

 光化学オキシダント増加が人体や植物に及ぼす影響も心配だ。対策につながる原因究明を、環境省は急ぐべきだ。

2010年8月4日02時02分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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