HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37493 Content-Type: text/html ETag: "adda0-15c8-3f486e40" Expires: Sun, 01 Aug 2010 21:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 01 Aug 2010 21:21:10 GMT Connection: close ポト派初判決 「法と正義」実現の第一歩に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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ポト派初判決 「法と正義」実現の第一歩に(8月2日付・読売社説)

 170万人以上の犠牲者を出したと言われる歴史的な大量虐殺の司法上の責任を追及する上で、重要なステップになったと言えるだろう。

 旧ポル・ポト政権下で発生した虐殺事件を裁くカンボジア特別法廷で、強制収容所の元所長だったカン・ケ・イウ被告(67)に禁固35年の有罪判決が下された。初の司法判断である。

 この収容所では約1万6000人が、拷問を受けたり、殺害されたりした。元所長は国際法上の犯罪である「人道に対する罪」やカンボジア刑法の殺人、拷問罪などで、有罪と認定された。

 終身刑が最高の中で、求刑は禁固40年だった。裁判に協力的で、罪を認め、謝罪していることなどが考慮されたのだろう。

 ただ、特別法廷は、禁固35年の中から11年間の未決拘置期間と違法拘置とされた5年間を差し引き、実質的な服役期間は19年になると説明した。2審制のため、元所長は上訴する方針で、裁判はさらに続く見通しだ。

 特別法廷は、カンボジア政府が国連に開設を要請し、双方で協議の末に決まった。

 カンボジア人の検事、判事らで審理する方式ながら、日本人、フランス人ら外国人の検事、判事らも参加する「国際化された国内裁判所」「混合法廷」などと呼ばれる特殊な裁判の形態になった。

 裁判費用は国連が大半を負担しその4割を日本が拠出した。

 昨年2月の初公判以来、70回を超える審理が行われた。裁判は毎回公開され、テレビでも中継されるなど、事件に対する国民の関心の強さを改めて示した。

 フン・セン現政権が訴追の対象とした元指導者5人のうち、ポル・ポト政権のナンバー2だったヌオン・チア元人民代表議会議長やイエン・サリ元副首相兼外相ら、拘束中の残る4人の捜査は終了しているものの、公判はまだ開始されていない。

 4人は近く起訴される見通しだが、70歳代から80歳代の高齢である。いずれも無罪を主張し、法廷で全面的に争う姿勢を示しているため、判決までたどり着けるかどうか予断を許さない。

 大量虐殺の首謀者は、どれだけ時間を経ようとも、責任を追及されることを内外に示した点に、特別法廷の意義がある。

 カンボジアの国民和解は、特別法廷での審理を通じて、「法と正義」の実現が示されない限り難しいだろう。引き続き、公平かつ中立で速やかな審理が望まれる。

2010年8月2日01時04分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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