HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Mon, 02 Aug 2010 03:14:35 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:<生れて何も知らぬ 吾子(わがこ)の頬(ほお)に/母よ 絶…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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2010年8月2日

 <生れて何も知らぬ 吾子(わがこ)の頬(ほお)に/母よ 絶望の涙をおとすな>。二〇〇一年に九十六歳で亡くなった詩人竹内てるよさんの詩『頬』の冒頭の一節だ▼生後すぐ母と生き別れ、病気や貧困と闘う人生だった。一家が困窮すると、十代で働きに出た。家族を引き取ってもらう条件で結婚したが、大病を患うと離縁を言い渡された▼赤ん坊を夫側に渡すことになり、絶望の果てに心中を決意。しかし、手の中のひもが動くのを笑う赤ん坊を見て、死はすっと遠のいた。『頬』はこの時の体験がモチーフだという(出久根達郎著『今読めない読みたい本』)▼<その頬は赤く小さく/今はただ一つのはたんきょう(巴旦杏)にすぎなくとも/いつ人類のための戦いに/燃え輝かないということがあろう>。無限の可能性を秘めた命に、自分の心の弱さを映してはいけない。皇后さまも励まされたというメッセージは、苦難の道を歩んだ人だからこそつづれたのだろう▼幼児の虐待死の悲報が相次いでいる。大阪市では、育児を放棄した母親に置き去りにされた幼い姉弟が餓死した。親の自覚や愛情のかけらもない振る舞いに身震いするが、なじっていても子どもたちは戻らない▼独りぼっちで子育てに悩むお母さんたちは多い。どう支えられるのか、衆知を集めたい。子供たちは可能性の塊だ。その笑顔をもう虐待死で失いたくない。

 

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