HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37762 Content-Type: text/html ETag: "1008f7-160b-67a7e8c0" Expires: Sat, 31 Jul 2010 22:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 31 Jul 2010 22:21:05 GMT Connection: close 最賃引き上げ 政府の成長政策こそ重要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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最賃引き上げ 政府の成長政策こそ重要だ(8月1日付・読売社説)

 最低賃金の今年度の引き上げ額の目安を決める中央最低賃金審議会の着地点が、大詰めの段階でも見えてこない。

 最大の論点になっているのが、民主党政権が新成長戦略で掲げた、「できる限り早期に全国の時給の最低額を800円とする」という目標の扱いだ。

 長妻厚生労働相は、こうした目標を踏まえた審議を求め、暗に大幅な引き上げを促した。労働側委員も同調し、「3年間で800円の実現を」と主張している。

 最低賃金は中央審の目安を参考に各都道府県が決定するが、現在の全国平均は713円、最低は長崎県などの629円だ。しかも、過去10年の最大の上げ幅は全国平均で16円にすぎない。

 最低800円は、短期の目標としては、あまりに高い。この目標を踏まえた論議に経営側が抵抗するのも、当然だろう。

 パートなどの場合、800円未満の賃金で働く人が50%以上を占める県が10県以上もある。こうした県で急激に最低賃金を引き上げたことによる、企業経営への打撃や失業者の増加など、地域経済に及ぼす影響も考えるべきだ。

 各国ごとの最低賃金の水準をみると、日本は先進国の中で最下位に近い。全体の賃金の底上げを図らなければ、消費も盛り上がらない。最低賃金を着実に引き上げていくことは重要である。

 政府の新成長戦略は800円の前提として、経済成長やデフレ脱却を掲げている。経営側が主張するように、これらは、まだ何も実現していない。

 経営環境が好転してこそ、賃金の上昇にも弾みがつく。まず、そのための施策を政府が打っていくべきだ。その上で最低賃金の引き上げを求めるのが筋だろう。

 もう一つの論点に、生活保護との逆転現象がある。

 最低賃金法が改正され、生活保護の水準に配慮することが義務づけられて3年目になるが、なおも12都道府県で、最低賃金で得られる月給が生活保護の水準を下回っている。時給換算で、神奈川県の47円が最大の乖離(かいり)幅だ。

 仕事がないなどの理由で、高齢者でも母子家庭でもない、若い世代の生活保護の受給者が急増している。こうした人に就労を促すためにも、生活保護より、働いて得られる最低賃金の方を魅力あるものとしなければならない。

 ただ、地域ごとの経済の実情もある。速やかな逆転現象の解消を促すには、ここでも政府の成長政策による後押しが不可欠だ。

2010年8月1日01時24分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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