HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 31 Jul 2010 22:14:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:外ではビシッと決めているお洒落(しゃれ)な人がステテコ姿で…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年7月31日

 外ではビシッと決めているお洒落(しゃれ)な人がステテコ姿でうろうろしたりする。それが「家」というものだろう▼「うち」とも読むように、外部と隔てられた内部。ゆえにほっとできるし、くつろげる。外から守られている、との感覚からだろう、城や砦(とりで)にもたとえられる。<戸を閉めれば誰も自分の国の皇帝>とはモンゴルの諺(ことわざ)である▼これも、そんな「家」で起きたことだ。東京都足立区の自宅で、都内最高齢の百十一歳で存命とされていた男性が、ミイラ化した遺体で発見された。実は三十年以上前に死亡していたらしい。種々、不自然なこと多く、警察が同居家族らから事情を聴いているようだ。年金不正受給の疑いもあるという▼それにしても、よくそれだけの間、区職員や近所の人に気づかれなかったものだと思うが、それが「家」というものか。守られた内部とは逆にいえば、外から無闇に入り込めない場所ということでもある▼後を絶たない児童虐待にも思いが及ぶ。全国の児童相談所が昨年度中に受けた相談対応件数は過去最多を更新する四万四千余件。だが、その権限はあるのに、虐待の恐れのある家への「強制立ち入り」は一件しかない▼そうすべき時にはそうできるよう、一層の環境整備が必要だ。あの諺を借りれば、戸一枚向こうの<国>では<皇帝>の暴虐が吹き荒れているかもしれないのだから。

 

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