HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 28 Jul 2010 20:12:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:口蹄疫終息へ 教訓を次に生かさねば:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

口蹄疫終息へ 教訓を次に生かさねば

2010年7月28日

 宮崎県で口蹄(こうてい)疫が報告されて三カ月。県は家畜の移動制限を全面解除し、事態は終息に向かう。だが、二十九万頭の命を犠牲にし、人々の暮らしや心に傷を残して得た教訓を、忘れてはならない。

 畜産関係者には長い長い三カ月だったに違いない。

 この間宮崎県では、約二十九万頭の牛と豚が殺処分された。その中には、「宮崎県の宝」といわれたエース級の種牛たちも含まれる。日本は、国際獣疫事務局(OIE)から「汚染国」と認定され、牛肉の輸出は、OIEが特例として認めた香港、マカオ向け以外はストップし、五月の輸出額は発生前の一割に落ち込んだ。手塩にかけた牛たちを、目の前でむだに死なせねばならなかった畜産農家の心の傷は計り知れない。

 ウイルスが人体に付着して広がるのを防ぐため、図書館などの公共施設が閉鎖されるなど、一般の暮らしにも影響が出た。畜産関係以外でも宮崎からの積み荷が拒否されるなど、風評被害も深刻だ。

 このような大きな犠牲に見合う教訓は、必ず“次”に生かされねばならない。

 最大の教訓は、家畜伝染病に対する全体的な危機感の欠如が、被害拡大を招いたことだ。十年前の前回、北海道、宮崎での流行時には、被害が軽微で済んだ。そのせいか、人にはうつらないという安心感があったのか、肝心の初動の遅れが後々まで尾を引く結果になった。日本は、大陸の口蹄疫多発地帯に近い。大陸との交流が増えるに従って、口蹄疫上陸の危険も高くなる。水際で上陸を食い止める「島国型」の防疫体制を、ウイルスは入ってくるものと仮定して、発生地の封じ込めを迅速かつ徹底して行う「大陸型」へ改めることも考えたい。

 それには、国と現場自治体の連携強化が必要だ。種牛の処分をめぐって国と宮崎県が対立してしまい、国が強制代執行をほのめかす事態になった。このような失態を繰り返さないためにも、県境を越えた種牛の分散飼育体制や、避難施設の整備が急がれる。

 新たに子牛を出荷するには、三年ほどかかる。その間収入が激減する農家の打撃は深刻だ。補償体制の充実は、病畜情報を早め、早期の封じ込めにつながるはずだ。

 韓国では一月に流行し、三月に終息宣言を出した直後の四月に再発した。まだまだ油断は禁物だ。だが、事後の体制を整えるのに早過ぎることはない。

 

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