HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 35919 Content-Type: text/html ETag: "f2297-11ce-d230b880" Expires: Tue, 27 Jul 2010 22:21:46 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 27 Jul 2010 22:21:46 GMT Connection: close 7月28日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

7月28日付 編集手帳

 ロンドンの金融界を知る異色の歌人、渡辺幸一さんに、英語に取り巻かれての日常を詠んだ歌がある。〈主語を省かず意志鮮明に伝へきて深く疲れき英語の国に〉(第2歌集『日の丸』)◆国内にいてもこれからは、仕事を終えて家路をたどりつつ、「深く疲れき」と()め息をつく人が増えてくるのかも知れない。インターネットサービス大手の楽天が英語を社内の公用語にするそうで、話題になっている◆英語は「効用語」であり、「高揚語」である――以前そう語ったのは英文学者の柳瀬尚紀さんである。世界市場を相手にするうえで実利ある効用語として、世界企業を目指すうえで社内の士気を高める高揚語として、英語を公用語にする手探りはつづくだろう◆英国のチャーチル元首相はフランス語を話せたが、国際会議では英語で通した。「フランス語で話し始めると、とたんに脳が(にせ)フランス人のようになり、相手の政治文化や価値観につい自分を合わせてしまうから」と◆効用と高揚のはざまで、文化や思考の根っこにある日本語も大事にしてもらえるなら、進取の試みに横やりを入れる筋合いはない。

2010年7月28日01時16分  読売新聞)
現在位置は
です