HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 27 Jul 2010 01:14:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:防災ヘリ墜落 山岳救助の危険 教訓に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

防災ヘリ墜落 山岳救助の危険 教訓に

2010年7月27日

 埼玉県の山中で遭難者の救助に出動した県防災ヘリコプターが墜落した。気象が急変する山岳の救助では、過去にも事故を生んでいる。丹念に原因の究明をし、惨事を繰り返さぬ教訓にしたい。

 登山中に滝つぼに落ちた女性を救うために向かったヘリだった。女性は死亡したが、人命救助という崇高な使命の下で、亡くなった乗員五人の死を悼む。

 山岳地域での墜落事故では、ヘリの機体自体に問題があったか、操縦などの人為的なトラブルがあったか、気象条件の悪化があったか、などが考えられよう。

 ホバリング(空中停止)中にワイヤロープで下降中だった二人は無事だったが、「ばたつくような音がした」などと証言している。異音の場合、ローター(回転翼)やエンジンなど機体が原因のケースと、気流の変化によるケースがあるとされる。ローターが樹木と接触した可能性もある。

 国土交通省の運輸安全委員会は現地調査を始めたが、ヘリは今月中旬に定期点検をしたばかりで、機長もベテランだった。墜落事故の原因究明とともに、救助の手法も一から練り直してほしい。

 現地付近は当日、午前中に大雨・洪水・雷注意報が出ていた。積乱雲の発達とともに、昼すぎからはレーダーで激しい降雨も解析されたという。気象が急変する際には、乱気流により、横風も追い風も受けやすい。山に接近した位置では、風の影響で機体が揺さぶられる恐れも強いだろう。

 昨年九月には、岐阜県の北アルプス奥穂高岳付近で、同県防災ヘリの墜落事故が起き、乗員三人が死亡した。原因の調査は続いているが、山岳でのヘリ救助はまさに命懸けで、いかに困難かを物語っている。救助や捜索活動も安全第一を徹底せねばならない。

 北アでの救助は、六十四歳の男性が体調急変で死亡する遭難が発端だった。今回は五十五歳の女性だ。中高年の登山ブームの中で、遭難するケースは後を絶たない。昨年七月に北海道大雪山系で五、六十代の十人が亡くなった惨事も記憶に新しい。

 警察庁によると、昨年は山岳遭難者約千九百人のうち、五十五歳以上が64%を占めた。経験豊富でも、体力の衰えは伴う。山を甘くみず、入念な準備と健康の管理などは不可欠だ。夏山シーズンの最中である。“登山の高齢化”が、遭難救助での若い死と結び付いては悲しい。

 

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