HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 23 Jul 2010 23:14:31 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:経済財政白書 希望が見えてこない:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

経済財政白書 希望が見えてこない

2010年7月24日

 二〇一〇年度経済財政白書が閣議に報告された。家計支援だけではデフレ脱却は難しく、企業が活動しやすい日本にすべきという。どう実現するのか。豊かさを支える成長への希望が見えない。

 経済財政白書は日本経済の課題を分析し、経済運営の方向を客観的に示すことが目的だ。しかし本年度の白書は長期債務が国内総生産(GDP)の二倍近くに膨張した窮迫財政を背景に、家計支援の余裕はなくなったという国民向けメッセージに力点を置いたと見るべきだろう。

 昨年の政権交代後、鳩山前政権は子ども手当や高校の実質無償化など、家計負担を軽くして可処分所得を押し上げ、需要を掘り起こす政策に軸足を置いてきた。しかし、来年度からの子ども手当全額支給は、財源五・五兆円の見通しすら立っていない。

 そこで白書が登場させたのが、企業が日本でビジネスをしやすくする「居心地」論だ。最終章を「企業が居心地のよい国は、家計にも居心地がよいはずだ」との記述で結んでいる。財政支援に代わって、企業に需要創出の旗振り役を担わせるという台本だ。

 企業が生み出す付加価値はGDPの半分の二百六十兆円に上り、全労働人口の七割が企業で働いている。日本に進出した外国企業も含め、収益の拡大が期待できれば給料が上がり、需要を喚起してデフレからの脱却も見えてくる。

 しかし、企業が活動しやすい日本にするために白書が挙げているのは、外国企業の対日投資を妨げている語学の専門家不足の解消や、世界的にみて水準の高い法人税率を引き下げて外国企業の誘致を図る、などに限られている。

 いずれも、これまで再三議論されてきたテーマであり、それだけで需要の創出を期待するというのでは、あまりにも戦略に乏しいと言わざるを得ない。

 雇用にしても、企業の居心地のよさを追い求めるよりも、まずは女性や高齢者らを働きやすくさせる方が実現可能性が高い。

 育児のため通勤できない女性が働けるよう保育所を整備することも立派な成長戦略であり、より現実的といえる。勤労意欲が旺盛な高齢者に就労を促すこともデフレ脱却を後押しするだろう。

 菅政権は需要の創出を掛け声だけで終わらせてはならない。

 国会論戦などを通じ、国民が納得する力強い需要創出の戦略を、分かりやすく、もっと具体的に提示すべきだ。

 

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