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山陽新幹線不通 JR西はタガを締め直せ(7月23日付・読売社説)

 JR西日本の安全対策に疑問を抱かせるようなお粗末な事故だ。

 山陽新幹線のトンネル内で保守車両同士が追突事故を起こして脱線、新大阪―姫路間が始発から8時間以上も不通となった。

 台風などの自然災害を除き、これほど長時間、新幹線がストップしたのは異例のことだ。ビジネス客や夏休みに入ったばかりの旅行客に混乱が広がった。

 それでなくとも猛暑でうんざりなのに、計画を大幅に狂わされたとあっては、怒り心頭だろう。経済的な損失も計り知れない。

 すべての保守車両には、車両が300メートル以内に接近すると警報が鳴り、自動的に非常ブレーキがかかる衝突防止装置が備え付けられていたという。

 衝突防止装置が機能しなかったとすれば、何のための安全装置かわからない。装置の欠陥か、整備ミスなのか、徹底的に調査し、再発防止につなげるべきだ。

 追突した車両の運転手は「トンネル内は土煙が舞い、視界が悪かった。手動ブレーキも間に合わなかった」と説明している。

 視界が不良なら、もっと慎重に運転すべきではなかったのか。同じ場所、同じ時間帯に複数の保守車両を投入する作業計画に、問題はなかったのか。これは、明らかな人災だろう。

 前日の21日には、JR西の車掌が、偽計業務妨害などの容疑で逮捕されたばかりだ。

 乗務中に、列車に設置された防護無線の予備電源装置のカバーをドライバーではずし、中のヒューズを抜き取っていたというから悪質だ。犯行件数は20件に上る。

 ヒューズがないと停電時に予備電源は作動せず、事故などの際に周囲を走行する電車に緊急停止信号を送ることができない。二重事故につながりかねなかった。

 車掌は「仕事に疲れ、ストレスがたまっていた」と供述し、会社に不満があったともいうが、言い訳にならない。安全運行を担う立場の者が安全運行を脅かす行為をしたのだから、あきれる。

 JR西は福知山線の脱線事故で利益優先、安全軽視の企業風土が厳しく批判された。その後、「企業風土の変革」を表明し、社員教育の見直しなどにも取り組んできたはずではなかったのか。

 今回のような事故や不祥事が続くと、まだ安全最優先の意識が各現場に浸透していないと見られても仕方あるまい。信頼される公共交通機関となるためには、改めて組織の総点検が必要である。

2010年7月23日01時55分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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