HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 21 Jul 2010 00:13:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:<悲観主義者はすべての好機の中に困難をみつけるが、楽観主義…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年7月21日

 <悲観主義者はすべての好機の中に困難をみつけるが、楽観主義者はすべての困難の中に好機を見いだす>。英国のチャーチル元首相の語録の中で、個人的に最も好きな言葉だ▼数々の名演説を支えた「秘密兵器」は、舌足らずの話し方を隠すために特別につくられた入れ歯だったらしい。なくしてしまったら話ができなくなると、常に手元にスペアを置いていたという▼一つは氏とともに埋葬され、一つは英国の博物館に展示されている。入れ歯を製作した技師に返還されたものもあった。この技師の息子が英競売商キーズに出品し、近くオークションに掛けられる。予想される値段は五十万円から六十五万円だ▼第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの空爆が続く中、言葉で国民を鼓舞し、勝利に導いたチャーチル。秘密兵器にあやかりたいという政治家もいるのではないか▼最近のニュースで驚いたのは、肝いりで設置された国家戦略室が、単なる首相への助言機関に格下げされたことだ。国家戦略局が政治主導で予算や国家ビジョンを策定するという目玉公約は、十分な説明もなく消えた▼<政治的手腕とは、明日・来週・来月・来年どうなるかを予告する能力であり、かつ、なぜそうならなかったかを説明する能力でもある>(チャーチル『回顧録』)。なぜ、そうならなかったのか。国民にもっと語ってもらいたい。

 

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