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スーダンPKO 陸自ヘリ派遣見送りは疑問だ(7月20日付・読売社説)

 アフリカにおける国連平和維持活動(PKO)への自衛隊部隊の参加が15年以上途絶えている。そろそろ、このハードルを乗り越える時だ。

 菅政権は、国連スーダン派遣団(UNMIS)への陸上自衛隊の輸送ヘリコプター部隊の派遣を見送ることを決定した。この判断には大いに疑問が残る。

 仙谷官房長官は見送りの理由について、アフリカでのスーダンまでの移動と、ヘリ部隊の運用支援に困難がある、と説明した。

 アフリカの道路状況は、確かに悪い。現地にレーダー網がないため、レーダー設備なども自前で持参しなければならない。

 来年1月の南部スーダンの独立を問う住民投票の支援には、事前の訓練を含め、今年11月初めまでの現地入りが求められるが、その準備が間に合わないという。

 だが、UNMISには68か国の1万人以上が参加し、ロシア、インドなどはヘリ部隊を派遣している。他国と比べて、陸自の能力が特段低いわけではあるまい。

 住民投票の時期は早くから分かっていたはずだ。政府は、2008年10月からUNMIS司令部に陸自隊員2人を派遣し、将来の部隊派遣を視野に入れた情報収集を重ねてきた。間に合わせる方法が本当になかったのか。

 北沢防衛相が慎重論を唱え、派遣に前向きな岡田外相を押し切った。菅首相や仙谷長官が指導力を発揮せず、決断できなかったことにも、大きな問題がある。

 陸自は結局、日本から遠く、国民の注目度も低いアフリカには行きたくないのではないか。外務省などにはそんな見方もある。

 自衛隊の海外派遣の是非は、任務の危険性や難度などマイナス要因と、得られる評価や国益を総合的に勘案し、判断すべきものだ。今回の場合、マイナス要因は克服可能であり、派遣しないことで失うものの方が大きかろう。

 住民投票への国際社会の関心は高く、スーダンの安定は国際テロ対策となる。陸自派遣は、経済中心だった日本のアフリカ支援の幅を広げる意義も持つ。

 06年の法改正で国際平和協力活動が自衛隊の本来任務となった以上、アフリカでのPKOにも積極的に参加するのが当然だ。

 住民投票で南部スーダンの独立が決まれば、新たな復興型のPKOが始まる可能性が高い。ヘリ輸送に限らず、道路・施設整備など、陸自参加の選択肢も増えよう。政府は、今から入念に準備し、前向きな政策決定をすべきだ。

2010年7月20日01時49分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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