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2010年7月18日(日)付

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臨時国会―責任を分けあう第一歩に

参院選を受けて30日に召集される予定の臨時国会をめぐり、与野党の話し合いが進み始めた。民主党は今回は参院議長の選出などにとどめる考えだったが、自民党など野党は衆参両院で[記事全文]

共通番号制―目的と利点をくわしく

税金と社会保障の個人情報を効率的に管理するため民主党政権が導入しようとしている共通番号制について、菅内閣の閣僚検討会が素案を示した。「中間とりまとめ」として、国家戦略室のホームページに掲載中[記事全文]

臨時国会―責任を分けあう第一歩に

 参院選を受けて30日に召集される予定の臨時国会をめぐり、与野党の話し合いが進み始めた。

 民主党は今回は参院議長の選出などにとどめる考えだったが、自民党など野党は衆参両院で予算委員会を開き、菅直人首相との論戦の場を設けるよう求めている。

 菅首相は6月の就任後、予算委に登場していない。参院選の選挙戦では、所信表明演説や党のマニフェストの内容を超える発言を重ねてもいる。

 消費増税についての見解や、「強い経済、強い財政、強い社会保障」の中身をはじめ、首相に聞きたいことはたくさんある。

 首相と民主党は野党の求めに応じ、疑問や批判に答えてもらいたい。

 参院議長の職をめぐる与野党間のさや当ても起きている。

 江田五月議長は通常国会の会期末、野党側が出した首相問責決議案などを採決しないまま閉じた。これを理由に自民党などは江田議長の続投に反対している。

 異例な運営であり責任は免れない。この状況では交代は避けられまい。

 野党側にはこの際、議長ポストを民主党から奪取しようという声もある。だが、議長は比較第1党から出すのが慣例である。慣例は絶対ではないが、尊重はされてしかるべきだ。

 民主党には、ていねいな国会運営を促す観点から適切な人選を求めたい。

 与野党が今回から経験するのは、「真性ねじれ国会」である。与党が参院の過半数を持たないだけではない。参院で否決されても再可決できる3分の2以上の衆院議席も持たない。

 菅政権は予算を自然成立させることはできても、予算関連法の成否を野党に握られ、通らなければ予算の執行すらままならない窮状に追い込まれる。

 日本が深刻な危機に直面する折、国会がむき出しの権力闘争の場と化し、何も決められなくなることは避けなければならない。

 現状を、与党が衆院で、野党が参院で、それぞれ権力を分かち持つ構図と見るなら、同時に「責任」も与野党が分有するということができる。

 与党が「腰をかがめる」(江田議長)のは当然として、野党も置かれた立場にふさわしく振る舞わなければ、民意は早晩離れるだろう。

 与野党が、どこかで折り合いをつける作法を磨く必要がある。オープンな議論を重ねて双方が接点を見いだし、成案を得たケースはこれまでもある。

 衆参「ねじれ」は確かに危機だが、やりようによっては好機でもある。

 国会は権力をめぐる闘いの場だが、合意形成と課題処理の場でもある。

 月末からの臨時国会を、責任を分けあう政治の第一歩にするべきである。与野党は心して臨んでもらいたい。

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共通番号制―目的と利点をくわしく

 税金と社会保障の個人情報を効率的に管理するため民主党政権が導入しようとしている共通番号制について、菅内閣の閣僚検討会が素案を示した。「中間とりまとめ」として、国家戦略室のホームページに掲載中だ。来月16日まで国民の意見を募っている。

 住民基本台帳ネットワークを活用し、国民一人ひとりに新たな番号を割り当てる。税や年金などの分野ごとにデータベースを分散管理し、必要に応じ新番号で連携する。そんな方法を最有力と考えているようだ。

 二重投資を避けるためにも、住基ネットシステムの活用は望ましい。ただし、個人情報漏れや悪用の危険を抑えるために、情報を1カ所に集めないようにすることが大切で、素案は、そこに配慮している。

 だが、肝心の「どう利用するか」についての説明が、あいまいすぎる。「税務だけ」「社会保障にも使う」「幅広い行政で利用する」と選択肢をあげたり、「正確な所得把握」や「医療の向上」「各種手続きの簡素化」と記述したりしているが、これでは判断材料として不十分である。

 さらに問題なのは、共通番号制を使ってどんな社会保障を目指すのか、という政権の基本政策が書かれていないことである。

 国民の間に根深い「総背番号制で国家に管理される」という不信感と向き合ったメッセージも弱い。社会を支える費用を公平に分担し、行政サービスを効果的に受けるためにどう役立つのか。国民の方が政府を利用し、メリットを受けるために必要なインフラ整備であるといえるのか。もっと明確でくわしい説明がほしい。

 年金記録問題で明らかになったのは、役所任せは危険だということだ。年金を受け取る権利ですら自分でチェックしなければ、老後の支えとなるデータが消えてしまいかねない。だからこそ、ねんきん定期便ができた。

 まず、自分がどのくらい税や保険料を負担しているのかを知る。そして、子育てや教育、医療、介護などで、どんなサービスが利用できるのか、タイムリーに分かる体制を整えたい。

 この国では、税金は「とられるもの」、行政サービスは「与えられるもの」として受け止められがちだった。役所も、サービスの仕組みをわかりやすく説明するのを怠ってきた。

 負担と給付の回路をつなぎ、行政の透明性を高めるのに、共通番号制が果たしうる役割は小さくない。

 政府や自治体が個人情報の悪用防止に万全を期すことは、共通番号制を導入するための大前提となる。同時に、自分の情報がどう使われるのか。国民一人ひとりが容易にチェックできる体制をつくることも、不安をぬぐうための欠かせない要件だ。

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