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種牛殺処分 一貫性欠いた宮崎県の対応(7月17日付・読売社説)

 数少ない民間の種牛を特例的に延命させるか、他の農家と同様に公平に殺処分すべきか――。

 宮崎県の家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)問題で、国と県が対立する事態となっていた民間種牛の扱いについて、殺処分することが決まった。

 しかし、種牛の延命問題を巡る東国原知事の言動は一貫せず、地域の防疫体制を主導すべき首長としての対応のまずさが問われてもやむを得まい。

 種牛問題の決着で、感染の震源地だった県東部で家畜の移動・搬出制限は一部を除き解除された。感染被害は峠を越したとみられるが、再発懸念は消えていない。

 知事は国と協力し、完全終結に向けて、全力を挙げるべきだ。

 問題となったのは、県東部の農家が育てていた6頭の種牛だ。

 感染防止に向けたワクチン接種と殺処分が5月に実施された際、農家は飼育していた他の牛の殺処分には応じたものの、県所有の種牛が救済されたことを理由に、自らの種牛については拒否した。

 知事は口蹄疫対策特別措置法に基づき、一度は殺処分するよう勧告した。だが、農家が応じなかったため、種牛を県に無償で譲渡してもらい、特例による救済を求める方針に切り替えた。

 山田農相はこれを認めず、国として地方自治法に基づく是正指示を出す構えを見せると、今度は、延命方針を一転させた。殺処分を拒否してきた農家も、県の要請を受け入れた。

 感染した農場の周辺地域で、健康な家畜も殺処分することは、感染を封じ込める口蹄疫対策の根幹だ。周辺地域の農家すべてが殺処分に応じている。

 種牛を殺処分しなければ、制限解除が遅れて、県内の家畜の出荷が再開できない。

 国際機関による清浄国の認定も遅れ、牛肉や豚肉の輸出停止措置が続き、日本の畜産業全体への打撃は免れない。

 知事の一連の対応は、公平性や公益性の観点から、問題があったと言えよう。

 口蹄疫が発生した直後の初動の遅れをはじめ、最近、感染が疑われる牛を国に報告せずに勝手に殺処分していた問題も指摘されている。こうしたことが県に対する不信感を呼んでいる。

 国と県のぎくしゃくした関係も改める必要がある。口蹄疫対策は危機管理の一環として、国が責任を負うのは当然だとしても、実効性ある対応を取るには、県の役割も重要である。

2010年7月17日01時49分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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