HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 16 Jul 2010 02:13:12 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:宇宙飛行士の野口聡一さんが先月、百六十三日の宇宙滞在を終え…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年7月16日

 宇宙飛行士の野口聡一さんが先月、百六十三日の宇宙滞在を終えて帰還した後、初の記者会見で語った言葉が印象に残っている▼地球に戻ってよかったと感じたことは、の問いにこう答えた。「水ですね、水。流れる水、これはいいですね。水が流れているっていうことのありがたさというものを実感します。飲む水もそう、体に浴びる水もそうですが」▼由来、人間にとって水は欠くべからざるもの。<飲む水>は言うに及ばず、ことにこれからの時季は<体に浴びる水>も爽快(そうかい)の極みだ。そして<流れる水>。例えばせせらぎの音や川の表情には人間を奥深いところで癒やしてくれる感じがある▼しかし、<流れる水>には、いつ暴れだすか分からない獣性が潜むのも、また事実。平生の顔のうちにも、俳人の目はそれを見抜く。<この河/おそろし/あまりやさしく/流れゆき>高柳重信▼活発な梅雨前線による大雨が、西日本を中心に各地で大きな被害を出した。<流れる水>は、あるいは暴れ川と化し、あるいは土砂崩れを引き起こして家や道路を襲い、人の命まで奪った▼このごろ傘マークだらけだった週間天気予報を見れば、列島の一部には今日、多くの所には明日から晴れマークが並ぶ。梅雨がトンネルなら出口を示す光はもうそこだが、<流れる水>の鎮静は少し遅れがちだ。警戒を怠らないようにしたい。

 

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