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7月14日付 よみうり寸評

 〈生まれ変わったら何になりたいか? 「オレの子ども」〉――かつて本紙夕刊で連載した「殺し文句の研究」で、劇作家つかこうへいさんはこの言葉をあげた◆ある文芸雑誌のこの質問に答えたのはイラストレーターの和田誠氏。理由は「だってオレが可愛(かわい)がるから」。つかさんはこれに「さすが粋人」と感心した◆「親心にほのぼのとした暖かみを感じさせられた」とも書いた。10日、62歳で世を去ったつかさんに同じ質問はもうできないが、思えば「オレの子ども」ともいうべき多くの役者を育てた◆風間杜夫、加藤健一、平田満、黒木メイサ……。この人たちがそろって寄せた死去を惜しむ声を聞けば、つかさんの仕事、この人たちをどう育てたかが分かる◆「熱海殺人事件」「蒲田行進曲」「飛龍伝」……稽古(けいこ)場でセリフを作る「口立て」の手法。厳しいが、稽古の後は酒を酌み交わし、役者たちの部屋代も心配する◆名も仕事も、それ以上に人を残して去った。「対馬海峡あたりに散骨して」の遺書が悲しい。

2010年7月14日14時31分  読売新聞)
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