HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 36433 Content-Type: text/html ETag: "f636e-1213-52116880" Expires: Thu, 15 Jul 2010 03:21:18 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 15 Jul 2010 03:21:18 GMT Connection: close 7月15日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

7月15日付 編集手帳

 太平の世ではなく戦国の世に生まれていたら、(やり)一本で天下に名乗りを上げられたものを――そう嘆く侍に、浪人仲間が言う。違う、と。〈あれだけの乱世に太閤(たいこう)は彼一人しか出なかったではありませんか〉。山本周五郎の短編『大将首』である◆乱世でも英雄は量産されない。“英雄気取り”はたくさん生まれる。沈滞した日本経済に極端な規制緩和で活を入れた「平成の乱世」、小泉改革の頃を顧みれば、多くの人がうなずこう◆ITの寵児(ちょうじ)ともてはやされて粉飾決算で転んだあの人、「物言う株主」の風雲児と呼ばれてインサイダー取引で転んだこの人…名前が幾つか浮かぶ。新顔である◆日本振興銀行の木村剛前会長(48)が金融庁の検査を妨害した疑いで逮捕された。日本銀行の出身で、小泉政権時代は竹中平蔵元金融相のブレーンを務めて銀行に経営健全化を厳しく迫るなど、「金融改革の旗手」を自任していた。自分が銀行を旗揚げするや、不健全な経営実態を隠す側に回る。びっくりの旗手であり、がっかりの改革である◆「乱世」の生みの親、小泉さんも、竹中さんも、よくよく人を見る目がない。

2010年7月15日01時17分  読売新聞)
現在位置は
です