HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 14 Jul 2010 01:14:14 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:消費税増税 改革の実績が不可欠だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

消費税増税 改革の実績が不可欠だ

2010年7月14日

 民主党が参院選で敗北し、消費税引き上げをめぐる議論が早くも失速気味だ。公務員制度や行政の改革で実績を挙げないまま、増税に走ろうとしても無理がある。与野党ともに教訓にすべきだ。

 民主党の枝野幸男幹事長は消費税について「当初想定していた期限にこだわるのではなく、幅広い国民の理解と合意を得られるペースで進めることが基本」と述べ、二〇一〇年度中にこだわらず、議論のとりまとめを先送りする考えを表明した。

 敗北がよほどこたえたのか。「超党派協議がまとまらなければ、民主党独自に検討する」とまで言っていた勢いはどこへやら、一挙に調子が下がってしまった。

 一方、永田町には「菅直人首相が党内論議も不十分なまま独走して、引き上げ路線に走ったから負けた」といった解説が流れている。日本経団連の米倉弘昌会長は「消費税を掲げたから負けたとは思っていない」と語っている。

 たしかに菅首相の引き上げ発言が唐突だったのは間違いないが、そうした見方は核心を突いていない。本当の敗因は政権がやるべきことをやらずに、いきなり国民の負担で財政赤字のつけを解消しようとした点にある。

 政権が国民に本格増税を求めるなら、まず政府の中に潜んでいる無駄遣いや非効率を徹底的になくす努力が不可欠だ。そこで十分な実績も挙げないまま増税路線に走ったから、国民は政権に「ノー」を突きつけたのである。

 財政赤字が大変なのは、だれもが知っている。だが、数字のつじつま合わせで増税の必要性を訴えるのは財務省の理屈だ。今回の経過は菅首相から日本経団連に至るまで、まるで財務省に洗脳されたような印象がある。

 経済実態と政府全体を見渡して、まずは行政のリストラを大胆に断行する。それでも足りなければ、改革の実績を掲げて堂々と国民に増税論議を訴える。それが政治家の仕事ではないか。

 民主党政権は事業仕分けでそれなりに成果を上げつつあるが、作業はまだ途中段階だ。公約した予算の組み替えはできなかった。まして公務員制度改革にはまったく手がついていない。

 そんな段階で増税を訴えるのは、政策の優先順位が違う。国民の納得感がない増税論議は失敗する。「この政権なら話を聞いてもいい」と思うような改革の実績づくりにまず全力を挙げる。そこから再スタートすべきだ。

 

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