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7月13日付 編集手帳

 深海魚のからだは海底の大きな圧力に耐えられるようにできている。それがいきなり海面に浮上すると、外側の圧力が急に減るために、内臓が口から出てきたり、眼球が飛び出したり、悲惨な様相を呈するという◆“お天気博士”倉嶋厚さんの『季節おもしろ事典』(東京堂出版)に教えられた。長い野党暮らしから一夜にして政権与党に躍り出た政党も、海面に急浮上した深海魚に似ているだろう◆下積みの圧力から解放されて体内から飛び出すのは、内臓や眼球ではない。「(おご)り」である。秘書らが3人も逮捕・起訴されながら、党幹事長の要職にあった人がただの一度も国会の場で釈明していない事実ひとつにも傲りは見てとれた◆ああ、そうか、権力を持ち慣れない政党は、手にした権力をこんなふうに使うのか。もっと謙虚におなりなさい――それが参院選の民主党大敗に示された民意だろう。野党に協力を仰いで“ねじれ国会”を乗り切るつもりならば、傲りは厳禁である◆〈何となく自分をえらい人のやうに/思ひてゐたりき/子供なりしかな〉(石川啄木)。そろそろ、深海魚の子供は卒業していい。

2010年7月13日01時30分  読売新聞)
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