HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 13 Jul 2010 00:13:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:改選第一党 自民復調と浮かれるな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

改選第一党 自民復調と浮かれるな

2010年7月13日

 参院選で自民党が五十一議席を得て改選第一党になった。政権奪還に向けた第一歩となるのは間違いないが、党勢が本格的に復調したと言うには程遠い。浮かれている場合でないと、くぎを刺したい。

 投開票から一夜明け、自民党の谷垣禎一総裁は「有権者に『自民党、しっかりやれ』という結果を出していただき大変ありがたい。うれしかった」と語った。

 昨年の政権転落後の焦燥感から一転、自民党がにわかに明るさを取り戻したのも無理もない。参院選の獲得議席が五十を超えたのは二〇〇一年の「小泉旋風」で六十四議席を得て以来だからだ。

 ただ、谷垣氏自身が認めるように、改選第一党という結果は「再生の第一歩が緒に就いた」にすぎない。得票率などを見る限り、有権者は自民党に対してこれまで以上の支持を与えたわけではない。

 例えば比例代表の得票率は24・07%にとどまり、31・56%の民主党の後塵(こうじん)を拝している。しかも、〇七年参院選の28・08%、〇四年の30・03%と比べると、明らかに下落傾向にある。

 選挙区では七十三議席中三十九議席を獲得し、特に二十九の一人区は二十一勝八敗と圧勝したが、党内でさえ「民主党批判票が、みんなの党候補のいない一人区で自民党に回ってきただけ」とみる。

 つまり、自民党を再び政権に就けようという有権者の熱い期待を背負って議席を伸ばしたわけではないのだ。このことは十分、肝に銘じるべきであろう。

 その自民党が、衆参で多数党が異なる「ねじれ国会」でなすべきは、改選第一党の立場に浮かれることなく、「責任野党」として政策実現に努力することである。

 〇七年参院選で勝利し、参院第一党になった民主党は昨夏までのねじれ国会で「直近の民意は参院にある」として、参院で政府提出法案や人事案を次々と否決した。

 しかし、政権交代が当たり前に起こる時代に、そのようなことを繰り返せば、混乱と停滞の政治が続くだけである。

 民主党にただ従えと言っているのではない。正すべきは正し、提言すべきは提言する。真摯(しんし)な審議態度を通じて負の連鎖を断ち切ることこそ、長く政権党の座にあった自民党の使命ではないのか。

 この際、政権党にも増して重い責任が課せられたと自覚すべきであろう。「無責任野党」に堕さないことが、有権者の信頼を回復する唯一の道なのである。

 

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