HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 40345 Content-Type: text/html ETag: "10402f-1d3e-31e33c80" Expires: Sun, 11 Jul 2010 22:21:38 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 11 Jul 2010 22:21:38 GMT Connection: close 参院選民主敗北 バラマキと迷走に厳しい審判 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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参院選民主敗北 バラマキと迷走に厳しい審判(7月12日付・読売社説)

 昨年夏の衆院選で政権交代を果たし、その後の政権運営の評価を問う民主党に対し、有権者は厳しい審判を下した。

 11日投開票の参院選で民主党は、菅首相が目標に掲げた改選54議席を大きく下回り、敗北した。千葉法相も落選した。連立与党の議席も、非改選を含め過半数に届かなかった。

 この結果、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」になる。民主党は、参院の過半数を確保するため、野党との連立を模索せざるを得ない状況だ。

 菅首相は記者会見で「責任ある政権運営を続けたい」と、続投の意向を表明したが、求心力の低下は否めない。首相を含めた党執行部の責任問題が浮上する可能性もあり、混乱は避けられまい。

 民主党の最大の敗因は、菅首相の消費税問題への対応だ。

 自民党の消費税率10%への引き上げ公約に乗る形で税率引き上げに言及したが、税率アップの狙いや使途などについて十分説明を尽くさず、低所得者対策に関する発言も揺らいだ。

 首相の方針に対して、民主党内から公然と批判が出るなど、党内不一致も露呈した。

 無論、鳩山前首相、小沢一郎・前幹事長の「政治とカネ」の問題をはじめ、米軍普天間飛行場移設問題の迷走、子ども手当などバラマキ政策の行き詰まりなど、前政権の失政も響いた。

 ◆自民が改選第1党に◆

 自民党は、今回の改選議席では民主党を上回った。公募による新人候補の擁立など選挙戦術も功を奏したとみられる。

 もっとも、自民党が本格的に復調したと考えるのは早計だ。

 民主党の敵失に乗じた面が大きく、比例選では民主党に及ばなかった。有権者は、民主党の“独走”を阻む役割を自民党に期待したのではないか。

 みんなの党は、公務員の大幅削減や天下り根絶などを唱えて、2大政党にあきたらない人々の票を吸い上げ、躍進した。

 しかし、今後は、その議席数にふさわしい責任を果たさねばならない。ポピュリズム(大衆迎合主義)的な政策や言動は、改めざるを得ないだろう。

 キャスチングボートを握ることを目指していた渡辺代表は、今回の獲得議席を基に、政局を混乱させることがあってはなるまい。

 ◆消費税協議を進めよ

 今回の選挙戦の特徴は、民主、自民の2大政党が、消費税率引き上げという増税論議を避けずに戦ったことである。

 選挙中の本紙世論調査では、税率アップについて3人に2人が「必要」と答えていた。消費増税への理解は着実に進んでいるとみていいようだ。

 菅首相は、選挙戦で消費税を含む税制の抜本改革に関する超党派の協議を呼びかけた。自民党も同種の「円卓会議」を主張した。

 だが、子ども手当などのバラマキ政策を放置し、協議を開始するのは無理がある。これらの政策を見直したうえ、消費税率引き上げに向けて協議を進めることが政治の責任と言える。

 民主、自民両党は互いに歩み寄って協議に入るべきだ。

 普天間問題では、工法決定などの約束期限が8月末に迫っている。日米合意を誠実に履行し、日米関係を修復の軌道に乗せて、11月のオバマ米大統領の来日につなげる努力が欠かせない。

 今回の参院選敗北を受けて、民主党内では、小沢前幹事長支持グループなどが、9月の党代表選に向けて、執行部への揺さぶりを強める可能性がある。

 しかし、首相が、消費税や普天間の問題で示した方針を変更するようなことがあれば、国民の信頼を一層、失うだけだ。

 鳩山前政権から大きく(かじ)を切った内政、外交の現実路線は、しっかり堅持すべきであろう。

 民主党は、衆院では絶対安定多数を維持しているが、国民新党を加えても、参院で否決された法案を衆院で再可決するための3分の2以上の議席には達しない。

 この点では、自民党の安倍、福田、麻生の歴代政権よりも、厳しい国会運営が迫られる。

 ◆連立は政策本位で

 菅首相は記者会見で、野党との連立を視野に入れ、政策面の協議を行う考えを表明した。

 その際、安全保障政策で隔たりのある社民党との連立が政治を混乱させたことを忘れてはなるまい。連立政権は、基本政策の一致を大前提とすることが肝要だ。

 各野党は、次期衆院選をにらみ、連立政権には参加しないとしている。このため、閣外協力や、法案ごとに協力し合う「部分連合」も追求せざるを得ないだろう。

 菅政権の前途には、臨時国会や党代表選など、多くのハードルが待ち構えている。

2010年7月12日03時55分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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