HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17263 Content-Type: text/html ETag: "52ea26-436f-4c1c9ac0" Cache-Control: max-age=5 Expires: Mon, 12 Jul 2010 03:21:44 GMT Date: Mon, 12 Jul 2010 03:21:39 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2010年7月12日(月)付

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 江戸の昔にも庄屋などの選挙があって、「入札(いれふだ)」と呼んでいた。信を問うときには、信任なら「好(このむ)」と、不信任なら「きらい」と書いたそうだ。6割の信任で現職留任とする古文書も残っていると、歴史学者の磯田道史さんの著書に教えられた▼その「好」か「きらい」かが、民主党政権に対して問われた昨日の参院選である。結果は改選議席の54に及ばず、逆に落日の色の濃かった自民が勢いを伸ばした。与党は参院で過半数を割る。古文書に従うなら、中間評価は落第となろうか▼「政治家は次の時代を考え、政治屋は次の選挙を考える」と言う。首相になって「最小不幸社会」を語ったときの菅さんは政治家だった。だが支持率のV字回復に目がくらみ、やみくもに選挙を急ぎ出した頃から政治屋に変身したようだ。そのあたり、国民は鈍感ではない▼消費税の引き上げもしかりだろう。提起した責任感と勇気はむしろ買う。だが逆風が吹くとうろたえた。説明はぶれ、言い訳をし、報道が良くないと言い出した。正体見たり、の人もいたはずである▼3年前の参院選は自民が歴史的な大敗をし、昨夏の政権交代へと続いた。「君は舟なり、庶人は水なり」と中国の古典にある。「水は舟を載せ、水は舟を覆す」と続く。民衆は為政者を支えるが、不満ならひっくり返す。新政権の誕生はそれを地でいった▼その水が今度は新しい舟を揺さぶる。期待感から揺り戻してきた逆波(さかなみ)だろう。船底に穴が開いたかも知れない。自覚と手当てを怠るなら、凪(なぎ)はいっそう遠のくことになる。

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