長い地球の歴史の中で生き残ってきたのは、強い生き物や賢い動物とは限らない。むしろ、その時々の環境の変化に対応できた動物だけが生き残ることができた、と進化論を唱えたダーウィンは語っている▼経済活動も同じだろう。数十年前の花形産業がいまや「斜陽」というのはよくある話。時代の変化を見通せず、自己変革できなかった企業は、坂を転がり落ちるしかない▼この原理は政治にも当てはまるはずだ。世襲政治家ばかりが幅を利かす硬直した政治では時代に取り残されてしまう。有権者が自民党の長期政権にNOを突きつけ、政権交代を実現したのが昨年夏の衆院選だった▼しばらく安定政権が続くと思ったのはつかの間だった。米軍普天間飛行場の移設問題で迷走した鳩山由紀夫首相は一度も国民の審判を受けずに、二百六十六日で政権を投げ出してしまった▼「宰相不幸社会」という言葉を塩川正十郎元財務相が、月刊「文芸春秋」八月号で使っている。菅直人首相が就任会見で訴えた「最小不幸社会」に引っかけた。確かに一年で代わる「短命首相」ばかりでは、世界の動きに即応できるのか心配だ▼きょうは参院選の投開票日。政権交代につながった昨夏の選択は正しかったのか。時代の変化に機敏に反応できるのはどの政党なのか。有権者がもう一度冷静に考え、意思を示す大きなチャンスである。