HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Fri, 09 Jul 2010 03:14:27 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:温暖化対策 25%削減はどうなった:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

温暖化対策 25%削減はどうなった

2010年7月9日

 参院選は終盤に入ったが、環境に関する論戦は低調だ。温暖化への挑戦は、環境技術の革新による経済成長戦略の大前提になる。年末の国連交渉に向けて、各党の考えをもっとよく聞かせてほしい。

 政権交代直後の昨年九月、当時の鳩山由紀夫首相は国連で、「二〇二〇年までに一九九〇年比25%減」という温室効果ガスの中期削減目標を華々しくぶち上げて、世界の喝采(かっさい)を浴びた。明らかに看板政策だった。

 しかし、今度の参院選、民主党のマニフェスト(政権公約)には、25%はおろか、数値目標が書かれていない。菅内閣が新成長戦略の柱に据える「グリーン・イノベーション(環境技術革新)」の一環として、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取りや、地球温暖化対策税を活用した企業の省エネ対策支援といった項目をわずかに並べているにすぎない。

 菅直人首相は先の所信表明演説で、グリーン・イノベーションを新成長戦略の筆頭に位置付け、それには「二〇二〇年における温室効果ガスの25%削減目標を掲げた地球温暖化対策も含まれます」と述べた。だとすれば今度の選挙戦の中でも、政権党としての数値目標と実現への道筋、目標達成を経済成長に結びつける手段などを、具体的に示すべきではないか。

 自民は従来の主張通り、排出量取引などによらずに国内対策だけで〇五年比15%削減、公明、共産、社民、みんなも九〇年比25から30%の高い目標を掲げている。

 昨年末の国連交渉(COP15)では、一三年以降の排出削減枠組みが決められず、温暖化問題には、停滞感が漂っている。今は特に、選挙の争点になりにくい。だが、十一月にメキシコで開かれる仕切り直しの交渉(COP16)が近づくにつれ、各国の動きは次第に活発化するはずだ。

 事前交渉の場である十月の作業部会を中国が初めて天津へ誘致した。世界一の排出国でありながら現行の京都議定書では削減義務を持たない中国が、そのままでいられるよう、議定書の単純延長に動きだしたとも受け取れる。日本としては受け入れ難い。

 菅首相は所信表明で、COP16に向けて「国際交渉を主導します」とも明言した。そのためには、衆院通過後廃案になった地球温暖化対策基本法案の扱いも含めオープンな議論を今戦わせておくべきだ。いずれにしても、温暖化対策は国民全体の理解と参加なしにはなしえないからである。

 

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